ある日突然、妻から別居婚の提案をされて…【男と女の答えあわせ vol.104】
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は？
▶前回：会計時、女は「私も払います」と言うべき？デート後に男からの連絡が途絶えたワケは…
今年で結婚して4年。
可愛い娘と妻と僕、幸せな家族を築いていると信じていた僕の日常が、ある日突然、音を立てて崩れた。
食事と洗い物を終えた妻の千夏が、僕の目の前に仁王立ちになっている。
「うん、どうした」
「ごめん、別居したい」
まったく想像していなかった言葉に、思考が追いつかない。
「え……？ごめん千夏、それはどういう意味……？」
「離婚はしなくてもいい。ただ、別居したいの」
あまりにも冷たく、そして哀しい提案に僕は頭を抱える。
「別居婚ってこと…？」
「そうなるかな」
僕はもちろん反対した。だが千夏は「別居婚したい」と言って聞かない。
「好きな人でもできたの？」
「ううん。それはないよ。ただ一緒に暮らすのが、もう限界だなと思って」
妻の気持ちは、すっかり僕から離れていたようだ。
結婚4年目。妻が夫から離れて暮らしたいと切実に思うようになった理由とは？
Q1：出産がキッカケで、夫に触れられるのが嫌になった？
千夏は、僕の一目惚れだった。彼女がある企業の受付をしていた時に僕がたまたま見かけ、恋に落ちたのだ。
そしてどうにか知り合いのツテを駆使して食事会のセッティングを頼み込み、交際に発展。
そこからはすべてが順調で、僕たちは半年の交際を経てすぐに結婚した。スピード婚と言われるかもしれないけれど、僕が30歳、千夏が27歳とお互い結婚適齢期だったので、タイミングが良かったのかもしれない。
結婚2年目で娘の柚も生まれ、僕はなんて幸せなのだろう…と思っていた。
ただ柚が生まれてから、千夏は変わった。まず僕に触れられるのを嫌がるようになった。
そういえば、忘れられない出来事がひとつある。平日の夜に食事を終え、彼女とソファでテレビを見ていたときのこと。
食後にゆっくりしながら仕事の疲れを癒していた僕は、隣でウトウトとしている千夏にちょっかいをかけたくなった。
「ねぇ千夏。ちょっとお腹にお肉がついてきたんじゃない？」
そんな冗談を言って、少しお腹に触ろうとすると、烈火のごとく千夏が怒ったのだ。
「ちょっと！やめてよ！」
あまりにもその声が大きかったので、びっくりしてしまった。
僕は決してお腹のぜい肉を責めたかったわけではないし、「太ったから痩せなよ」などと言おうとしていたわけではない。僕なりの愛情表現であり、妻に触れたかっただけだった。
「ごめん千夏。別に悪い意味で言ったんじゃないからね」
「わかってるけど…。自分でも気にしているし、出産直後だから仕方ないじゃない。とにかく、あまり体を触らないで」
これはショックだった。
― ここまで嫌がる…？
ただ、出産後は「夫を男として見られなくなる」と聞いたことがある。この時はまだ柚が生まれて半年くらいのことだったし、僕は気にしないでおこうと決めた。
でも柚が大きくなり、1歳を過ぎても妻に触れる機会は減ったままだった。
そしてもうひとつ。千夏はよくわからないタイミングでイライラしていた。
最初は育児で疲れているのかと思っていたけれど、時々僕に対する当たりが強い日があった。
「ねぇねぇ千夏。明日買い物に行くでしょ？その時に買ってきて欲しい物があってさ」
入浴後に台所で洗い物をしている千夏に話しかけてみる。
柚はいつも千夏が寝かしつけてくれているので、もう寝ていた。だから今はヒマかなと思っていたのに、千夏は僕の話を聞くどころか洗い物の手を止めない。
「え？なに？今忙しいんだけど」
かなりキツイ口調だった。
でもそう言われても僕は怒らなかったし、苛立つ妻をそっとしておく、かなり優しい夫だったと思う。
夫に対して怒り爆発？妻が夫を受け付けなくなった理由とは
Q2：妻が夫を見切った理由は？
ただイライラしていない時の千夏はいつもと変わらず、僕たちはちゃんと夫婦として…いや、家族として日常を送っていたはずだ。
ちなみに彼女は結婚を機に仕事を辞めて、家にいた。そのおかげか、柚の教育を完璧にしてくれていた。
「あ〜……。今日も疲れたなぁ。本当に疲れた。仕事ってなんでこんなに大変なんだろう」
「駿くんお疲れさま。今日ね、柚が保育園で褒められたんだよ」
「そうなの？すごいじゃん」
千夏が作ってくれた夕食を食べながら、家族団欒の時間。この時に今日の柚の様子を僕に教えてくれるのが日課になっていた。彼女のおかげで柚がスクスク育っているのは、間違いない。
それに僕は仕事であまり育児を手伝えないから、感謝の気持ちは常に持っていた。
「千夏、いつもありがとう」
頻繁に感謝の気持ちを伝えていたし、それは千夏もわかってくれていたと思う。
何よりも、彼女には一切不自由な暮らしをさせていない。
買いたい物があると言ってきた時は許可していたし、生活費だってちゃんと渡していた。
「駿くん、柚にこのオモチャ買ってもいい？右脳の発達にいいらしくてさ」
「うん、なんでもいいよ！千夏が好きなのを買いなよ」
「ありがとう」
僕は僕で、頑張っていたはずだ。
家事や育児の負担は、千夏のほうがはるかに大きかったことは否めないけれど、極力、できることはやるようにしていた。
「そういえば駿くん。来週末、お友達家族の家にみんなでお邪魔する話なんだけど…」
「あ……。忘れてた。ごめん、ゴルフ入れちゃった」
「え！嘘でしょ？あのママ友、敵に回したら怖いんだからゴルフは断ってよ」
「無理だよ、こっちは仕事なんだし」
「そっか。それなら仕方ないね…」
千夏の様子を見て、これはゴルフへ行ったらマズいんだろうなということは伝わってきた。
「わかったよ…。ちょっとクライアントさんに聞いてみるね」
「駿くんありがとう！助かる！ごめんね」
このときは結局家族の予定を優先させることにし、ゴルフをリスケして千夏と柚のためにママ会のほうへ顔を出した。
だから結果として問題はなかったはず。
週末はゴルフ以外は極力家族といるようにしていたし、“いいパパ”だったと思う。
それなのに、どうして妻は急に「別居婚がしたい」なんて言い始めたのだろうか…。
▶前回：会計時、女は「私も払います」と言うべき？デート後に男からの連絡が途絶えたワケは…
▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT：3月27日 日曜更新予定
妻が別居婚を望んだ理由は？
