味が薄くて旨みが出ない!野菜スープ作りのお悩みをシェフが解決【Q&A】
意外にむずかしい。野菜スープ作りの疑問を解決!
普段の食卓に欠かすことのできない汁物のひとつ、野菜スープ。具材を切って、鍋で煮込み、塩やコンソメで味付けをする、この上なくシンプルな調理方法ですよね。
工程自体は簡単ですが、「味が薄くて、バシッと決まらない」「うまみ調味料に頼らないとおいしく仕上がらない」など、案外悩みはつきないもの……。
「実はスープというのは、プロの間でもむずかしい料理のひとつ。とくに野菜スープは身近な存在ですが、食材や工程のごまかしがきかないため、ついつい難航しがちですよね。みなさんの疑問を簡単に解決できるようなコツやポイントをお伝えするので、ぜひ挑戦してみてください」
Q1. 味がボヤッとして決まらない。どうすればいい?
ーーシンプルな野菜スープを作ろうとすると、なんだかボヤッとしてしまい、なかなか味が決まりません。どうすれば良いでしょうか?
A. 塩の割合を0.7%にする
木田翼さん(以下、木田シェフ) まず、スープの水分量に対して、塩は0.7%に設定しましょう。
例えば4人分のスープを作るとして、だいたい必要な水は800ml。800mlの0.7%なので、塩は5.6gです。小さじ1杯が約5gですが、最初は面倒でも計量器を使用するのがおすすめですよ。
パーセンテージといわれると少し身構えてしまうかもしれませんが、おいしいものを作りたいのであれば、どうか面倒くさがらずに守ってほしいポイントです。
野菜によっては水分が多く出る場合もあるので、そこからは微調整をして、自分好みの塩梅を見つけてください。コンソメやガラスープの素などを使う場合は、その分塩を引いてください。
具材にしても調味料にしても、あれやこれやと加えていると、迷子になりやすいので、なるべく最初に決めた分量を守ることも大切ですよ。そうすれば野菜の甘みや旨みが引き立ち、物足りなさを感じないスープができあがるするはずです。
Q2. コンソメやうまみ調味料がないと不安。なくてもおいしく作るコツは?
ーーどうしてもコンソメやうまみ調味料に頼ってしまいがちです。それらがなくてもおいしいスープを作る方法はありますか?
A. 旨みのある食材を活用する
木田シェフ 塩分量も大切ですが旨みがないと、全体的に物足りない印象になってしまいますよね。余計な調味料を使いたくない場合は、具材で旨みを補いましょう。
肉類ならベーコンやソーセージ、野菜ならにんにく、トマト、きのこも旨みの強い食材です。バターを加えたり、仕上げにチーズを振りかけるとコクが出ます。
ただ、もちろんコンソメやうまみ調味料を使うのは悪いことではないので、上手に活用すると良いと思いますよ。「調味料を切らしてしまった!」なんてときは、冷蔵庫に旨みの出る食材があるかどうか、探してみてください。
Q3. 野菜がドロドロになってしまいがち。食感を活かすには?
ーー野菜の出汁や旨みを引き出そうとすると、食感がなくなってしまいます。ぐちゃぐちゃになってしまい、見た目もあまり美しく仕上がりません……。
A. 具材の大きさをそろえ、火の入りにくい食材から入れる
木田シェフ スープの具材は、カットの大きさをなるべくそろえることが基本。また、火の入りにくい食材から調理していきます。野菜でいうとにんじんや大根などの根菜はやわらかくなるまでに時間がかかりますし、先に入れたほうが出汁もでますよ。
反対にキャベツやレタスなどの葉物野菜は、玉ねぎやにんじんと一緒のタイミングで煮込み始めるとすぐにドロドロになってしまいます。
それから、味付けでもたついて煮込みすぎないこと。野菜の食感が失われるうえ、水分量も変わってきて、味のボヤッと問題も発生してしまいます。ですから、最初に塩のパーセンテージを決めるのが大切なんですよ。
Q4. 基本の味に飽きてしまったら?
ーースープを作りすぎたときに同じ味だと飽きてしまいます。味を変えたいときにおすすめの食材や調味料はありますか?
A. スパイスやハーブを駆使して、世界各国の味に
木田シェフ 日々料理を作るなかで、やはり味変は欠かせませんですよね。スパイスやハーブ、油などを加えて、世界各国のスープ風に変化させるのはどうでしょう。
たとえばローリエ、タイムを入れば、フレンチスープに。バジルやトマト、オリーブオイルでイタリアン。ごま油をひと回しかければ中華。キムチを入れれば、辛さと酸味のきいた韓国風スープに。
ガラムマサラでインドカレー風、ナンプラーとパクチーでエスニックなど、組み合わせは無限です。
シンプルなスープこそ基本を守ることが大切
塩の分量を適当にしない、食材をバラバラな大きさで切らないなど、そんなにむずかしいことではありませんが、案外できていなかった人やおざなりにしていた人も多いはず。
“基本が大切” とはよくいわれる言葉ですが、野菜スープのように食材の味を活かすシンプルな料理においては、それが最重要であるということがわかりました。
初心者はもちろん、料理に慣れている人も、あらためてきちんと作ってみれば、今までとは仕上がりの違うスープができあがりますよ。
取材協力
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取材・文/岩田知夏
撮影/横田睦美