新庄剛志監督がコーチに通告「ダメだったら1年で」 低迷脱出へ求める“厳しさ”
守備崩壊のチームが変わる?「打てなくても勝っていた」
日本ハムの武田勝投手コーチが「Full-Count」のインタビューに応じ、新庄剛志新監督が繰り広げる“ビッグボス野球”の行方を語った。2006年に日本一に輝いた当時のような堅守がベースとなると予測し、投手陣へ与えるプラス効果を口にした。
武田コーチは2006年に日本ハム入団。その年新人ながら29試合に投げ5勝、防御率2.04の好成績でチームの日本一に貢献した。現役最終年だった新庄監督とも1年間だけ、一緒にプレーしている。昨年11月の秋季キャンプで再会した際には「覚えていては下さったので安心しました。『後ろから見ていて、こんなに安定感ある投手はいなかった』と声をかけて頂きました」とのやり取りもあったという。
奇抜なファッションや発言で世間の注目を集めている新庄監督は、どのような野球を展開していくのだろうか。武田コーチもまだまだ見えない部分は多いと言うが、ベースははっきりしている。「守りを重視した野球に変わっていくのかな、という感じはしますね」。日本ハムの失策数は昨季、76個でリーグワーストだった。2020年も75個で、2年連続リーグ最下位。その前は3年連続でブービーの失策数。守りから破綻するパターンが、しみついてしまっている。
新庄監督や武田コーチが現役だった当時は、全く違ったチームカラーだった。「打てなくても勝っていたチームだったわけだから」。新庄監督の現役最終年、日本ハムはリーグトップの135本塁打、同2位の567得点で打ち勝ったように見える。ただこのチームはまぎれもなく「守り勝つ」チームだった。新庄監督と小笠原道大(現巨人コーチ)が抜けた2007年は本塁打、得点ともにリーグ最低となったが、リーグ連覇してみせたのがその証明だ。
堅守が投手陣に与える効果「自分を追い込むことが減る」
打てなくても勝つ。なぜそんなことが可能だったのかといえば、守りからリズムを作って勝つという意識を、全員が共有していたからに尽きる。守備力は投手の攻め方にも大きな影響を及ぼすからだ。
「当時も、新庄さんや(金子)誠さんの守備が核でしたよ。やられたと思った打球を捕ってくれるんだから、投手は大胆に攻められるようになる。自分を追い込むことが減るよね。プラスの効果しかなかった」
新庄監督は就任会見で「ヒットを打てなくても点は取れる」と語っている。相手のスキをついて奪ったリードを、しっかり守り切る野球が浮かび上がってくる。さらに、「怪我する選手はいらない」と発言するなど、厳しさも求められるだろう。選手だけではない。コーチにも「ダメだったら、1年で辞めてもらいます」と、ミーティングで伝えられたという。
新庄監督が秋季キャンプで指示した様々な練習法は、選手に気づきを与え、変化を促すためだ。これは現役引退後の指導者生活を「やらすのではなくて『気づかせ屋』になりたいね。僕がそれで変われたから」というスタンスで続けてきた武田コーチとも共通する。
考えてみれば、2人とも故・野村克也氏の“門下生”だ。そして稲葉篤紀GMも。「力がなくとも、頭を使え」という野球観が、下位に沈むファイターズを救うのかもしれない。(羽鳥慶太 / Keita Hatori)