リチウムイオン電池はなぜ発火する? 発火問題と正しい破棄の方法

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リチウムイオン電池は、小型で携帯が可能、また高速充電が可能ということで、さまざまなデジタル機器で使用されている。

スマートフォンやノートパソコン、デジタルカメラ、掃除機、電動工具、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を利用した製品は多い。

ただしリチウムイオン電池には、リスクもある。
リチウムイオン電池の発火が原因で火災になった事例もあるからだ。

そこで今回は、リチウムイオン電池の発火問題と破棄の方法を紹介しよう。


リチウムイオン電池は、なぜ発火する?
リチウムイオン電池の発火の多くは、電池のプラスとマイナスが繋がる(ショートする)ことにより起こる。
・外部短絡
・内部短絡
・過充電
この3つのいずれかが原因になり、ショートが生じる。

まず外部短絡は、下記のような外からの衝撃により起こる。
・電池を落とす
・何かが刺さる
・押しつぶす

内部短絡は、
パーツの不良や、製造ミスにより、電池の内側でショートするために起こる。

過充電は、
リチウムイオン電池が満充電であるにもかかわらず充電を続けたとき、電池内の安全回路が働かずに、電池内が故障するために起こる。

リチウムイオン電池は一度発火してしまうと、個人での消火は極めて困難であり、消火器(クラスB/C向け)でなければ、消火することができない。
水をかけると、水とリチウム金属の間で化学反応が起こり、水素が発生してしまうため、火に油を注ぐ事態になりかねない。そのため砂や土を被せたほうがよい。

リチウムイオン電池の発火を防ぐためには、過度な衝撃をかけないことが重要だ。


iPhoneにも、リチウムイオン電池が使用されている



リチウムイオン電池発火を防止するには?
リチウムイオン電池の発火を防止するには、第一に過度な負荷をかけないことだ。
落下や突起物などの強い衝撃を与えると、リスクが高まる。

置き場所にも注意したい。
リチウムイオン電池の保管温度は、-20〜45度程度のため、高温の場所に置かないようにしよう。
たとえば、夏場、日向に長時間止めた自動車は、車内が高温になる。
スマートフォンを車内に置き忘れると、リチウムイオン電池が加熱して、爆発や発火の危険性が高まる。ガスコンロや焚火の近くも高温になるため、注意が必要だ。

充電器への常時接続も、過充電になり危険だ。
コロナ禍でやむなく会社に放置したスマートフォンリチウムイオン電池が膨張した事例がある。
またリチウムイオン電池の膨張は、電池内で化学反応が起こり、ガスが発生するために起こる。
満充電になったスマートフォンは放置せず、充電器から外そう。


■要らなくなったリチウムイオン電池は、どう処分すればいいのか?
スマートフォンリチウムイオン電池は、モバイル・リサイクル・ネットワークが、スマートフォンと一緒に回収するよう取り組んでいる。
たとえば、NTTドコモでは、全国の約2400店舗のドコモショップや各種イベントなどで、ブランドやメーカー問わず、スマートフォンを回収している。


100円ショップのモバイルバッテリーにも、リサイクルマークがある


一般社団法人JBRCは、小型充電式電池のリサイクルを推進しており、リチウムイオン電池だけでなく、ニッケル水素電池やニカド電池も回収している。
回収用のリサイクルボックスは、大手家電量販店やホームセンター、スーパーマーケットなどに設置されているので、それを利用しよう。


充電式電池のリサイクル
回収に関するよくあるお問い合わせ
一般社団法人JBRC


ITライフハック 関口哲司