12日に控えたガーナとの初戦を前に、アズーリ(イタリア代表)に頼もしい男が復活した。激戦を繰り広げた代表FW枠、ビエリ負傷により滑り込みでメンバー入りを果たしたFWビンチェンツォ・ヤクインタ(26=ウディネーゼ)がついに爆発した。9日、最終調整を兼ねたドゥイスブルグU19と対戦したアズーリは後半から出場したヤクインタの2得点などで5−1の勝利で締めくくった。

力強いドリブル突破からの豪快な一発、勢いに乗ると止まらないヤクインタに付いた愛称は“ポパイ”。今季序盤は欧州CLで大爆発するなど絶好のスタートを切ったヤクインタだったが長くは続かなかった。移籍問題のこじれがポッツォ会長の逆鱗に触れ、エース飼い殺し状態が続いた。試合に出られないヤクインタは調整不足から右足親指疲労骨折を招く悪循環に陥った。結局、FWとしては物足りない9得点に終わったヤクインタだが、爆発力を買ったリッピ監督は最後の最後まで代表候補に入れていた。

国内でのカルチョ・スキャンダル発覚後、リッピ監督、主将カンナバーロ、守護神ブッフォンが事情聴取されるなどW杯に向け万全の準備が出来たとは言い難い。優勝候補と目されながらも身から出た錆がアズーリから輝きを奪っている。アズーリに漂う重い空気、苦い今季を吹き飛ばすため爆発男ヤクインタがW杯の舞台に立つ。