働く堅実女子のためのビジネスで役立つマナー。今週は佐々木恵美さん(仮名・金融関連会社勤務・33歳)からの質問です。

「 コロナ禍で仕事がなくなり、転職しました。新しい職場で素足にパンプスを履いていたら、私より年上の女性社員から“非常識じゃない? ” と指摘されてしまいました。前の職場でも履いていなかったのですが、言われたことがなかったし、正直、驚いてしまいました。

実際、職場の服装規定には、ストッキングの着用義務は入っていません。湿度が高く、暑いこの時期はストッキングを履いているとムシムシするし、そもそもストッキングが苦手でできれば履きたくありません。ただ、入ったばかりですし、その人と仲が悪くなるのも困るし……。どうしたらいいでしょうか 」

蒸し蒸し、じっとりと暑い季節。毎日過ごすだけでもツラい……という人も多いのではないでしょうか。ストッキングの締め付けや素材感が肌に合わないとなればなおさらです。気持ちも服装も窮屈な思いをしていれば、業務にも集中できませんよね。

とはいえ、先輩から指摘されれば気になるところ。おとなしく従ったほうが角は立ちませんが、それもちょっと違うような……。こういう場合、どうすばいいのでしょうか。鈴木真理子さんに伺ってみましょう。

脚をきれいに見せてくれる効果は捨てがたいけれども、「履かないのは非常識」と言われるともやもや……。

規約になければ問題なし

まずは、転職おめでとうございます。コロナ禍、社会にも大きな変化があり、大変な思いをされたことでしょう。そんな中、前向きに自分の人生を切り開いていった相談者さんは、すばらしいと思います。ぜひとも、新天地でご活躍してくださいね。

さて。今回のご相談ですが、 スカートが短かすぎる、胸元が開きすぎる、派手すぎる、メイクが濃すぎるなどなど、 社内にまるで風紀委員のように、新人の服装やメイクをチェックする人がいるというのは、比較的よく聞く話です。しかし、規約になければ基本的には問題ありません。

確かに、裸足で料亭の畳を歩くのは非常識だ、とか人さまの家に上がるときに生足は失礼といった考えがあり、生足なら靴下を持参しましょう、といった暗黙の了解もありました。それくらい、生足は文字通り生々しさがあるので、きちんとした場にはそぐわないという考えがあったのです。なので、店頭に立つ人など、接客業務にのみストッキング着用を義務づけている会社もあります。

しかし、全体としては、今は生足パンプスが非常識、という考え方は薄まっていると思います。常識、非常識という観点からではなく、脚がキレイに見えるから、靴擦れを起こして痛いからといった理由で履いている人も多いですよね。素材を選べば、盛夏でも、履かないより涼しいタイプも登場していますしね。

会社員として大切なのは、規約に即しているスタイルであるかどうかです。自分がしたくないと思っていることを、いち社員の“自分基準”に従う必要はないと思います。それに、相談者さんが、その人の意見を鵜呑みにしてすぐに変更すれば、相手は、相談者さんのことを自分の思い通りになる人だと思って、今後もなんやかんやと絡んできそうです。そうなれば、相談者さんはますます苦しくなってしまうのではないでしょうか。

意見を押し付けて、言うことを聞かせようとする先輩社員への対応は?

では、「非常識」と指摘してきた相手とはどのように付き合っていけばいいでしょうか。確かに、相談者さんよりも社歴が長く、先輩なことには間違いありませんから、敬意は持つべきですよね。しかし、それは、相手が言うことに従うことではありません。受け止めたうえで、自分で判断していい部分です。

非常識と言われたとき、相談者さんはどのように反応したのでしょうか。もしかしたら、口ごもってしまったのかもしれませんね。そして、今は、ストッキングは履いているのでしょうか。もし、無理をしているなら、自分が心地いいほうを選んでいいと思います。そして、また言われたら、「体質でストッキングを履くと肌がかぶれてしまうんですけど、おすすめのストッキングってありますか?」など、雑談にもっていってしまってはどうでしょう。

それでもしつこく、履くべきでは、などと言われてしまったら、今一度上司に確認をしてみてください。これは、念のため、会社の暗黙のルールになっていないかを知るためでもあります。そんなことはない、となれば、履かない選択でよいと思います。そして、もし、規約にはないけれど、部署として履くことを推奨しているなどがあれば、上司に直接、「体質で履けない場合にはどうしたらいいでしょうか」と聞いてみてください。よいアドバイスをくれるはずですよ。

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■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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