観覧車も「再就職」閉鎖の遊園地アトラクション第二の人生へ 今後が気になる「長老」も
遊園地の閉園が続くなか、役目を終えたアトラクションが別の地で「再就職」する事例も増えています。巨大な観覧車やジェットコースターも、お引越ししています。
観覧車もお引越し
栃木県のテーマパーク、那須高原りんどう湖ファミリー牧場に2021年7月17日(土)、観覧車が新たにオープンします。55年以上の歴史で初となる観覧車だそうですが、実は、他の園から移設されたものです。
もともとは、南海電鉄が2020年3月まで運営していた大阪府岬町の「みさき公園」内の遊園地にあったもの。観覧車本体やゴンドラなどを解体したうえ、栃木まで運んだのだといいます。
那須高原りんどう湖ファミリー牧場にオープンする観覧車のイメージ(画像:那須興業)。
「当園では現在、アトラクションの新規導入に力を入れており、みさき公園の遊園地閉鎖後、遊具の業者さんに『どうですか』とご紹介いただき、当園の新たなシンボルとして導入することにしました」(りんどう湖ファミリー牧場を運営する那須興業)
解体して移設したとはいえ、観覧車の高さや大きさ、ゴンドラなども、みさき公園の当時のままだといいます。ただ外観の色については、「みさき公園当時のものはカラフルでしたが、景観に合わせて、若干シックな色に塗り直しています」とのこと。
遊園地にある各種乗りものの中でも、大きい部類に入るであろう観覧車ですが、移設の事例は少なからず存在し、日本から海外に移設されて現役というものもあります。
なお、りんどう湖ファミリー牧場には「もうひとつ、2021年3月に移設されたばかりのアトラクションもありますよ」と、那須興業が教えてくれました。
2分割された東京練馬の巨大迷路
その、他園からりんどう湖ファミリー牧場へ移設されたばかりというアトラクションが「冒険迷路 TO・RI・DE」。2020年8月をもって閉園した東京都練馬区「としまえん」の木製立体迷路「トリックメイズ」を分割して移設したものです。山形県の遊園地にも移設されています。
実はとしまえんのアトラクションは、すでにいくつかが、第二の人生を歩んでいます。
同じ西武グループで2021年5月にリニューアルしたばかりの西武園ゆうえんちには、「チャレンジトレイン」と「模型電車」が、横浜の八景島シーパラダイスには、「バブルシューティング」「バタフライダー」「フライトイーグル」が移設されています。
ジェットコースター「コークスクリュー」の車両も、仙台市の八木山ベニーランドで稼働しています。としまえんと同型のコースターであったことから車両更新となったもので、これに伴い八木山ベニーランドの旧車両も、北海道の遊園地へ引き取られました。
としまえんにあった頃の「コークスクリュー(画像:西武鉄道)。
このように、遊園地のアトラクションは、各地を転々とすることもあるのです。その最たるものが、旧としまえんで稼働し「機械遺産」にも認定されている「カルーセルエルドラド」でしょう。100年以上前にドイツでつくられ、アメリカを経てとしまえんへやってきた、世界最古級とされる回転木馬です。
ただ西武鉄道によると、カルーセルエルドラドについては、譲渡するか自社施設で活用するかも含めて、まだ決まっていないということでした。各地へ譲渡された旧としまえんの遊具について同社は、「行く先々で多くのお客様にお楽しみいただければ」としています。
みさき公園、としまえんに続き、西日本鉄道が福岡で運営する「かしいかえんシルバニアガーデン」も2021年いっぱいの閉園が決まっているなど、特に鉄道系のレジャー施設は営業終了が相次いでいます。別の地で第二の人生を歩むアトラクションなども、今後増えるかもしれません。