災害時に避難するかどうかを判断するための指標の1つに避難情報があります。

これは自治体が発表するもので、法律が変わり今月20日にその運用が見直されました。

差し迫った状況をこれまでより分かりやすく伝えられるようになり、逃げ遅れの防止に効果があると期待されていますが、その一方で危険を感じていても1人で逃げることのできない高齢者などへの対応は依然として課題となっています。

5月20日から大雨や洪水の際に市や町が出す避難情報が大きく変わりました。

災害によって人的被害が発生するおそれがある場合に安全な場所へと避難を促す「避難勧告」が廃止され、より切迫した状況を示す「避難指示」に一本化されています。

変更は勧告と指示の違いがわからないといった指摘を受けたもので、警戒レベル4にあたる避難指示までに必ず避難してもらうことで逃げ遅れ防止を図ります。

レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」となります。

レベル3の「高齢者等避難」は避難に時間がかかる高齢者に対してより強いメッセージを送るために名前が変わりました。

今回の法改正でもう1つ変わったものがあります。

「個別計画」策定の努力義務化です。

「個別計画」とは高齢者や障害者など「災害弱者」と呼ばれる人たちの避難方法などについて事前に決めておくものです。

避難に支援が必要な人、一人一人に対して支援する人や避難する場所、経路などを設定します。

地域の警察や消防、民生委員、自治会員などが支援する側として想定されています。

この計画の策定が全国的に進んでいないことから、国は法整備によって動きを加速させたい考えです。

とちぎテレビの調べでは支援が必要とされる「避難行動要支援者」に対して個別の計画が作り終わっているのは25の市と町のうち、上三川町のみとなっています

そのほかの自治体では策定率が半分にも満たないところが多く、4つの市と町では計画づくりが未着手の状態となっています。

このうち芳賀町については今年度中に一部策定できるよう準備を進めているということですが、残る那須烏山市、茂木町、那珂川町については、着手のめどが立っていないということです。

集中豪雨が頻発し災害が激甚化する近年、犠牲者の多くを高齢者などの災害弱者が占めています。

なぜ計画づくりが進まないのか―。

自治体が抱える課題について、栃木県の担当者は「計画には支援される人の個人情報が含まれるため、情報提供の同意を得にくいと聞いている。まずは支援が必要な人に制度を知ってもらうこと」と話しています。