学生からの質問に答える山崎区長=11日、墨田区役所で(撮影:吉川忠行)

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2011年の完成を目指す高さ610メートルの新東京タワー(第2東京タワー)の建設候補地に決定した墨田区で11日夜、山崎昇・墨田区長と早稲田大学の学生が地域問題について議論する討論会「墨田区役所を裸にする」が行われた。

 墨田区では早稲田大学と2002年12月に締結した事業連携協定に基づき、地元の中小企業も交えた地域活性化の産学官連携に取り組んでいる。この連携の一環として「地域を経営する」をテーマにした友成真一教授(同大理工学術院)のゼミを03年4月から同区内で開催している。

 今年度4回目となる今回は会場を同大から墨田区に移し、山崎区長と学生36人が“ガチンコ”討論を繰り広げた。「なぜ区長になったか」、「区の財政健全化は痛みが伴ったか」など区長の区政に対する姿勢に関するものから、新東京タワーに関する内容まで、多様な質問が学生から出され、予定時間を30分超えて1時間半にわたる議論の場となった。

 討論会の中で、学生から「良い街とは何か」を問われると、山崎区長は実際に居住している人数を示す「夜間人口」が多いことを条件に挙げ、「引き続き住んでもらい、引っ越してきてもらえる街」とした。新タワー建設後のまちづくりについては、「新タワーを中心に回遊してもらえる『江戸下町の庶民文化』を体感できる街を作りたい」と語り、六本木や表参道とは違った、地域特性を生かしたまちづくりの方針を強調。また、再び同区を訪れたいと思うリピーターをいかに増やすかも大切であると述べた。

 “都の西北”の新宿区内にある同大が、東部の墨田区と連携する意義について、友成教授は大学を地域に誘致する活動を例に、「熱意を持って取り組めるなら必ずしも大学を誘致しなくても良い。大学との連携は、誘致活動よりも誘致後にどのような連携を行うかが大切で、距離が離れていても区の職員や学生が相互に往来することで良い関係が築ける」と、提携や協力の実質的中身がより重要だと語った。

 同ゼミでは墨田区内での実地研究を重ね、来年1月に同区内で行われる予定の区民向け報告会で研究成果を発表する。【了】

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