ソリオの発表を行うスズキの鈴木俊宏社長(写真:スズキ)

スズキは2020年11月25日、「ソリオ」と「ソリオ バンディット」を全面改良し、12月4日より発売すると発表した。

2011年に登場した「ソリオ」、そしてその派生車種として2012年に追加された「ソリオ バンディット」は、コンパクトで取り回しのいいボディと広い室内空間を両立したことで、コンパクトハイトワゴンという新たな市場を切り開いたモデルだ。

ソリオは、「ワゴンR」の派生モデル「ワゴンR+」が「ワゴンRソリオ(2000年)」「ソリオ(2005年)」へと名称変更したことにより誕生。2010年に登場した2代目モデルは、後席両側スライドドアや前後左右ウォークスルーを採用するなど、使い勝手を向上させて人気を獲得した。


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このときに、フロントまわりを中心にデザインを変えたバンディットも発売。2015年には3代目となり、マイルドハイブリッドや新プラットフォーム「ハーテクト」を採用して、ソリオらしさを向上させた。

2代目以降は大きく路線変更することなく、コンパクトハイトワゴンの先駆者として、モデルチェンジを重ねるごとに格段に商品価値をアップさせてユーザーの支持を増やし、月平均3500台以上という安定した販売台数を維持し続けている。

スズキのラインナップの中では、世界戦略車である「スイフト」と並ぶ人気モデルで、2016年から4年連続で国内登録車販売台数10万台を堅持する屋台骨の1つだ。

コロナ禍の販売低迷を打破する

代表取締役社長 鈴木俊宏氏は、「コロナ禍により、今年度の4月から9月の登録車販売台数は4万7000台と厳しい状況ではありますが、この新型ソリオで挽回し、2020年度も年間10万台以上の登録車販売を目指したい。そのために、新型ソリオは今まで培ってきたソリオの良さを一層磨き上げ、広さと快適性、安全性をはじめ、全方位にわたって大きな進化を遂げました」と語った。


11月25日に行われた発表会の様子(写真:スズキ)

また「私どもの小型車ラインナップ上、大変重要な車種である新型ソリオは、競争の激しいコンパクトハイトワゴン市場に、スズキが満を持して投入する自信作であり、多くのお客様からご支持をいただけると確信しています」と、自信をのぞかせる。

今回の全面改良で一番に重視した点は、「ユーザーの声」だとチーフエンジニアの永田和夫氏は言う。

主にファミリー層ユーザーから挙げられた、「後席を快適に」「荷室を大きくしてほしい」「安全装備を充実してほしい」などの声に応えるため、商品コンセプトを「コンパクトハイトワゴン市場の開拓者として、お客様のニーズに応え、高い安全性を有する新型ソリオ」に決定。

ターゲットユーザーは、ソリオが「コンパクトで広く、使いやすさに魅力を感じる方、そして幅広く受け入れられる普遍的なデザインや合理性を求めるユーザー」、そしてソリオバンディットが「ソリオの特徴に加え、キャラクターの立ったデザインに魅力を感じる、個性を大事にするユーザー」に定めての開発が行われた。

最大の改良ポイントは、最小回転半径4.8mという取り回しの良さは維持しつつ、全長を80mm(ソリオ バンディットは70mm)延長し、荷室床面長を100mm拡大するなど、室内空間と荷室の拡大を実現したことだ。荷室は、後席を一番前にスライドさせなくても、35Lのスーツケースが5つ積載できるほどだという。


拡大された室内寸法(写真:スズキ)

さらに、3代目に引き続き、ISG(モーター機能付き発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせた独自のマイルドハイブリッドシステム搭載グレードを設定。減速時のエネルギーを利用して発電し、専用リチウムイオンバッテリーに充電することで、加速時にはその電力を用いてモーターでエンジンをアシストし、燃料消費を抑制してくれる。

また、ガソリンエンジン搭載グレードには、パワフルで静粛性に優れた1.2リッターのK12C型デュアルジェットエンジンを採用。4気筒で振動も少なく、マイルドハイブリッド、ガソリンなどの仕様にかかわらず、静粛性に優れたモデルとなっている。なお、先代モデルで設定されていたフルハイブリッドは現状、用意されていない。

合理性重視のソリオ、個性重視のバンディット

ソリオのエクステリアは、上質でダイナミックなデザインに進化した。フード先端をせり上げ、厚みを増した存在感あるフロントマスクを採用したことや全長を延長したことに加え、動きのあるラインを用いたことで、伸びやかなイメージを演出。ダイナミックなフォルムと機能性を高次元で両立している。

インテリアは、リビングのような心地よさを演出。立体的な表面処理が施されたドアトリムなどにより上質さや充実感が表現され、ネイビーとホワイトを基調としたデザインで、洗練された空間となった。

圧倒的な存在感を放つソリオバンディットのエクステリアは、二段構えの独創的なヘッドランプ形状を先代から継承し、上質かつ個性あるスタイルに進化。ボルドーとブラックを基調とした室内空間は、ブラック&ボルドー柄のシートで深みを表現するなど、大人のこだわりを感じさせる空間となっている。


ソリオ以上にデザインが変わったソリオ バンディット(写真:スズキ)

ボディカラーは、ソリオが8色。ソリオ バンディットが7色+ブラックツートーンルーフ仕様4色が用意された。

安全面では、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」をさらに進化させ、運転に必要な情報を見やすく表示するカラーヘッドアップディスプレイをスズキのコンパクトカーで初採用。

さらに、アダプティブクルーズコントロール(ACC)が全車速対応となり、長距離移動などでの運転操作の負担が軽減されたほか、6エアバッグ(運転席・助手席SRSエアバッグ、フロントシートSRSサイドエアバッグ、SRSカーテンエアバッグ)を全車に標準装備するなど、充実した内容となっている。

また、パワースライドドアには予約ロック機能が追加され、ドアが閉まるのを待たずにリモコンキーでドアロックの操作が可能に。さらには、車内の空気を循環し、エアコン使用時の前席と後席の温度差を少なくするスリムサーキュレーターが、スズキのコンパクトカーとして初採用されるなど、使い勝手と快適性の向上が図られた。

販売台数“前年度超え”の立役者となるか?

グレードはソリオが6タイプ、ソリオ バンディットが2タイプで、税込み価格は158万1800円から。

<ソリオ>
G 2WD:158万1800円
G 4WD:170万7200円
HYBRID MX 2WD:185万200円
HYBRID MX 4WD:197万5600円
HYBRID MZ 2WD:202万2900円
HYBRID MZ 4WD:214万8300円

<ソリオバンディット>
HYBRID MV 2WD:200万6400円
HYBRID MV 4WD:213万1800円

※価格は税込み

スズキの掲げる目標販売台数(月間)はソリオとソリオ バンディットの合計で4000台。コロナ禍により、5月には前年同月比43.3%まで販売実績(軽自動車+登録車)を大きく落としたスズキだが、7月以降は前年同月比を上回る好調となっている。一方で、年度で見ると販売台数は、約2割減だ。この販売台数を、この新型ソリオの投入で取り戻すことができるだろうか。