新型フェアレディZとアリアが再起の鍵? ピンチの日産を救う2台の役目とは

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日産は本当にピンチ? 鍵を握るのはZとアリア

「日産は破綻するかもしれない」と思っている人が少なくないと思う。
  
 実際、2019年度決算を見ると新型コロナの影響無しにもかかわらず6700億円という巨額の赤字を出しています。

次期型フェアレディZと電気自動車アリアの2台は日産復活の鍵を握るのか。

 アライアンスを組むルノーと三菱自動車だって日産に勝るとも劣らない赤字決算で、絶体絶命というイメージすら漂う。ところが日産社内の雰囲気は悪くないという。

【画像】新生日産の象徴! 新型Z&アリアをささっと見てみる!(28枚)

 なぜか。おそらく復活に向け希望の持てるロードマップなどが出来ているのだと思います。

 今を凌げば何とかなるということで、確かに私達のような自動車専門家から見ても、20年前は絶望的だったが、現在の日産は魅力的な新車群を持っています。

 だからこそ日本政策投資銀行が日産への融資(1800億円)を決めた際、日本政府は1300億円の保証をしたのかもしれません。

 その日産、当然ながらすぐに発売出来るクルマを持っていない。一方、可及的速やかに新しさを打ち出さないと、全体のムードは盛り上がらないです。

 急遽考えたのが、電気自動車「アリア」とスポーツカー「フェアレディZ」なのでした。

 考えて欲しい。どちらも発売は2021年の夏以降とアナウンスされてます。普通ならこんな早いタイミングでのお披露目など考えられません。

 鋭い人なら「デジャヴみたいですね」。日本語で書けば既視感です。

 20年前、ゴーン体制になった日産は、リバイバルプランで縮小均衡策をおこなった。

 同時並行で「GT-R」とフェアレディZという「走り」のクルマを復活させ、さらに電気自動車という新しいタネをまいている。

 実際、10年前の日産で話題の主役だったのはGT-Rと「リーフ」でした。

 そして今回はフェアレディZアリアです。

 再び走りと環境というまったく違うタイプのクルマを日産のイメージとして打ち出してきたから面白い。

 ふたつの路線、どちらが日産復興の原動力になるだろうか。

 発表したときの反応を見ると、圧倒的にフェアレディZ優勢。ネットのアクセス数などでスコアを付けるなら10対1くらいになると思う。

 クルマ離れの時代といわれながらも、やはりカッコ良いスポーツカーの人気が高いということなのでしょう。

 10年前の「GT-R vs リーフ」、話題性では環境のリーフが優勢でした。時代が変わったのか。今や日産の復興はフェアレディZに掛かっているという声も内外から出てます。

 フェアレディZを切り込み隊長に、「シルビア」など走り優先の戦略を取るべきか。

 確かに日産のDNAは何かと聞かれたら、どんな車種であっても高い走行性能を期待する声が出てきます。

 フェアレディZのようなスポーツカーであり、「スカイライン」的な走りの良い乗用車です。

 サファリラリーで大暴れした「ブルーバード」や、いち早くターボを採用した「セドリック」も優れた性能をアピールしていました。

 リーフの販売台数が伸び悩んだのは、環境を前面に打ち出したからであり、日産らしさを感じさせられなかったからだと考えます。

 もう少し「楽しさ」というクルマの奥行きを訴求出来ていたら、違った答えになっていました。

 アリアも走る楽しさをしっかり持っていれば(それをアピールすることも重要)、きっと日産らしいクルマになると思います。

アリアとZは切り込み隊長役!?

 5年先の自動車マーケットが確実に読めれば苦労しない。さまざまな状況から考えると、やはり明日の日産を支えるのは現実的な技術であるe-POWERです。

 もう少し具体的に書くと、日本市場では次期型「エクストレイル」や次期型「ノート」です。

 ただ今お披露目しちゃうと現行モデルが売れなくなってしまうが、フェアレディZアリアなら問題無し。

電気自動車×SUVとして2021年に登場する「アリア

 ということでこの2モデルに期待されるのは、本命となる動力性能と燃費を高い次元で両立させるe-POWER勢が出てくるまでの切り込み隊長役です。

 フェアレディが20世紀的なクルマの走る楽しさを。アリアで21世紀的なクルマの走る楽しさを前面に打ち出せたなら、日産らしさも際立ってくると考えます。