悲劇のカラーゼ、ダービー制す貴重なゴール

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イタリア経済の中心地ミラノを拠点とする2位ACミランと3位インテルの第34節ダービー戦は伏兵カラーゼ(28)の得点でACミランが1−0の辛勝。01年冬、ディナモ・キエフから世界の名門ACミランに移籍したグルジア人カラーゼが貴重なゴールを決めた。夢にまで見たセリエA、新天地で待っていたのは栄光だけではなかった。移籍から間もない5月23日、当時歯科大学の学生だった弟レバンさんがグルジア国内で誘拐された。身代金目的の誘拐犯グループは今年2月17日に逮捕されたが、レバンさんはすでに遺体となっていた。

気合の一発だった。後半25分ピルロのFKはDFにクリアされたが、セードルフがすかさずエリア内に放り込んだ。オフサイドポジションにいたジラルディーノの存在に油断したインテルDF陣の裏に抜け出たカラーゼ、胸トラップから豪快に振り抜いた左足シュートはGKの左手を弾いてネットを揺らした。本業の守備でもこの日4バックの中央を組んだネスタとともに破壊力のあるインテルを完封する大活躍。

訃報から2ヶ月、その間チームメイト、クラブは必死にカラーゼを勇気付けた。仲間の支えに応えるため、悲劇を忘れるため試合に没頭してきた彼の執念がダービー勝利を呼び込んだ。直接対決で勝利したACミランは3位インテルとの差を5に拡げる勝ち点76。欧州CLバルセロナとの対戦を前に弾みを付けた。