NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00〜)で染谷将太演じる織田信長の妻・帰蝶役を好演している川口春奈。初の大河ドラマかつ、初の時代劇となった川口は、放送開始当初のインタビューで「すべてが新鮮」と話し、所作の苦労などを明かしていたが、信長を支える頼もしい妻として回を重ねるごとに存在感を増している。

7日に放送された第21回「決戦!桶狭間」では、今川義元(片岡愛之助)との決戦を前に死を覚悟する信長を見て泣きそうになり、その直後に、信長が跡取りのために側室に産ませた息子・奇妙丸を託された帰蝶。呆然とするも、駆けつけた光秀(長谷川博己)と対面した際には、「天から降ってきた大事な預かりものじゃ」と言ってしっかりと奇妙丸を抱いていた。

このシーンについて、また、これまでの川口の演技について、演出の一色隆司氏に話を聞いた。



一色氏は、「この時代の女性は、大変だなと思います。夫が他で子供を作っていても何も言えない…だからといって、それによって離婚します…とも絶対にならない。嫌いになる人もいるのでしょうが、帰蝶は信長を嫌いにはなりません。それも自分の運命と受け入れるのです」と解説。

帰蝶が初めて奇妙丸と対面したシーンについて、「川口さんにその戸惑いと怒り、その下から湧き出る悲しみをシームレスに表現することを意識してもらいました。女性の目から見たら許せない部分もあって良いわけで、それもきちんと感じながら、でも、信長に対する思いがその場で冷めることもなく演じて欲しいと話しました」と明かし、「とても複雑な思いを巧みに演じて下さったと思いますし、帰蝶を確実に自分のものにしていらっしゃると思います」と川口の演技を称賛した。

そして、「最初は、所作などとてもナーバスになっていましたが、周りの役者さんから声を掛けていただいたり、いろんな人とコミュニケーションを取りながら帰蝶を掴んでくださいました」と川口の帰蝶役としての成長を振り返る一色氏。

「お姫様であるが故に翻弄される人生を受け入れつつも、自分の在り方に信念をもって生きていこうとする姿は、川口さんの人見知りだけど負けず嫌いな部分と重なる部分も多いように感じます」と帰蝶と川口を重ね、「リハーサルで出した芝居上の宿題などは、本番の時までにこちらの想像を遙かに超えるレベルでこなして魅力的な帰蝶を作って下さっています。ものすごい努力家であると同時に人の心をいろんなレベルで表現できる豊かな感性をお持ちなんだと思います」と語った。

第21回の終盤では信長と帰蝶の強い絆を感じさせるシーンも。桶狭間の戦いの勝利した信長が、待ち構えていた光秀を対面した場面で、信長は帰蝶について「帰蝶は何をしても褒める。いつも褒める。あれは母親じゃ」と語り、「美濃の国を取る。美濃を取って帰蝶を喜ばせてやる」と光秀に告げた。

なお、『麒麟がくる』は新型コロナウイルスによる収録の一時休止に伴い、次回から放送休止。14日から3週にわたり特別番組『麒麟がくるまでお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル』を放送する。









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