スマホで100倍ズームは当たり前になる? ペリスコープカメラ搭載機が増えている

写真拡大 (全4枚)

スマートフォンのカメラ性能は年々高まっており、遠くを撮影できる3倍、5倍といった望遠レンズを搭載したモデルも増えている。
2020年は望遠性能をさらに高め、50倍や100倍といった超高倍率の撮影に対応するスマートフォンが増そうだ。

そのカギを握るのはペリスコープカメラ。
ペリスコープとは潜望鏡の意味で、潜水艦の潜望鏡のイメージの通り、長い筒の前後にプリズムを置くことで光の向きを90度変えることができる。
筒の中にレンズを多数配置することで、高倍率の光学ズームを実現きるのだ。


ペリスコープカメラは複数のレンズを横向きに配置、プリズムで90度光を曲げる


一般的なスマートフォンカメラは、スマートフォン本体の厚みに制限があるため、レンズを複数重ねる高倍率光学ズームを実現することは難しい。
ところがペリスコープカメラは、本体に対して横方向に埋め込むため、レンズを多数重ねることができる。
もちろんレンズ数が増えれば、センサーの受光量も減少するため、無制限にレンズを増やすことはできないが、これまでのスマートフォンカメラよりも高倍率の光学ズームを搭載することは可能となる。

さてペリスコープカメラを始めて搭載したスマートフォンは、2019年春に発売されたファーウェイ「P30 Pro」だ。
P30 Proのカメラ部分を見ると、4つ並んだレンズのうち一つだけ四角い形をしている。これがペリスコープカメラだ。P30 Proの望遠カメラはペリスコープカメラだけを使う光学望遠だけではなく、デジタル望遠を組み合わせている。
・光学:5倍
・ハイブリッド:10倍
・デジタル:50倍

その後OPPOもペリスコープカメラを搭載した「Reno 10x Zoom」を発表。
2020年になるとサムスン「Galaxy S20 Ultra」、ファーウェイ「P40 Pro+」が10倍望遠のペリスコープカメラを採用し、今までのスマートフォンでは考えられない100倍デジタルズームも可能にしている。


サムスンのGalaxy S20 Ultraはデジタル100倍望遠撮影が可能だ


だがこれらのペリスコープカメラを搭載したモデルは、いずれもフラッグシップモデルなので価格も10万円を超えている。

ところが最近になってペリスコープカメラ搭載ながらも格安なスマートフォンが出てきたのだ。
たとえばシャオミが中国で発売する「Mi 10 Young Edition」は、日本円で約3万2000円ながら、800万画素5倍ペリスコープカメラを搭載し、デジタルでは最大50倍望遠での撮影が可能だ。

Mi 10 Young Editionは、ほかに4800万画素の広角カメラ、800万画素の超広角カメラ、200万画素のマクロカメラを搭載。ディスプレイは6.57インチと大きく、チップセットこそハイエンド向けを搭載しないものの、ミドルハイレンジ向けのクアルコムSnapdragon 765Gを搭載している。
ハイエンドゲームでもしないかぎり十分すぎる性能だ。


3万円で50倍カメラを搭載するMi 10 Young Edition


このほか中国Vivoのミドルハイレンジスマホ「X30 Pro」にも、1300万画素ペリスコープ5倍カメラが搭載された。デジタルは60倍が可能で、6400万画素広角、3200万画素2倍望遠、800万画素超広角というハイスペックなカメラを4つ搭載する。チップセットはSnapdragon 765Gと同レベルの性能を持つサムスンのExynos 980を搭載することで、価格は約6万円(3998元)に抑えている。

このようにもはやペリスコープカメラはハイエンドモデルだけの機能ではない。
低価格なモデルへの搭載で、一般ユーザーにも高倍率の光学ズーム撮影ができる時代に突入したといえるだろう。


執筆 山根康宏