富士フイルム「X100V」発表。初搭載のチルト液晶で街撮りがより楽しく
富士フイルムはロンドンにて、新型高級コンデジ「FUJIFILM X100V」を発表しました。伝統のコンパクトボディにこれまで以上の撮影能力を詰め込んだ1台となっています。店頭予想価格は16万4500円前後(税抜)、2月下旬より各色順次発売します。

イメージセンサーは2610万画素の裏面照射型「X-Trans CMOS 4」を搭載(2018年発売の「X-T3」などと共通です)。最新の画像処理エンジン「X-Processor 4」を組み合わせて、撮影速度や解像度、ローライト性能を向上させています。以前からこのカメラを愛用していたような街撮りフォトグラファーにも最適ですが、新しいビデオ機能などによって、これまで以上に活用の幅が広がっています。

連写性能は連続AF有効時で秒間最大11コマ(電子シャッターな20コマ/秒)と、前モデルの秒間8コマから向上しています。また、X-T3やX-Pro3と共通の、429点ハイブリット位相・コントラスト検出AFシステムを搭載しています。そして、X100Fにはない顔・瞳検出を備えています(これが街撮りでいかに役立つかは言うまでもないことでしょう)。

新しいセンサーの性能を発揮するにはより優れた光学部品が必要です。X100Vでは新設計の23mm/F値2.0レンズを搭載します。このレンズは富士フイルムいわく「高解像度、歪み軽減、近焦点性能」にフォーカスして開発されたもの。旧製品のレンズと同じサイズに仕上げたことで、X100シリーズ用望遠・広角コンバージョンレンズとの互換性も維持しています。また、明るい屋外での撮影で使用するNDフィルターは4段階で引き上げられています。

街撮りフォトグラファーにとって、 もっとも注目のアップデートはチルト式液晶モニターをシリーズではじめて搭載したことでしょう。X-T3と同じ、側面のくぼみを持ち上げて起こす方式で、縦持ちでも横持ちでも素早く起こせます。ディスプレイ解像度も162万画素に向上しています。



このシリーズの特徴となっているハイブリッド・ビューファインダーも多少の改良が加えられています。光学ファインダー(OVF)は35mm換算で0.52倍と前モデルより若干フレームが広がっています。光学ファインダー上にフォーカスピーキングや撮影データを重ねて表示する機能も搭載します。最大の改善点は電子ビューファインダー(EVF)で、369万画素の有機ELディスプレイと解像度が向上して、見やすく、実用的になっています。



フィルムシュミレーションは17種類あり、新たにEternaとClassic Negativeが追加されています。これらはすべて、写真と動画の両方で使えます。これは最初に述べたことの繰り返しになりますが、X100Vの最大の魅力は、富士フイルム製カメラの豊富な機能をより軽量でコンパクトな筐体に詰め込んだことでしょう。



とりわけ、X100Vのビデオ撮影能力は、コンパクトカメラには似合わない強力なものです。4K/30FPS撮影はもちろんのこと、HDMIポートを介した外部記録で10bitカラーの4K/30FPS撮影までできてしまいます。このコンパクトカメラで4K映像を撮ろうとする人がどれほどいるかは分かりませんが、その実力のほどには感心します。スローモーションは最大1080p/120FPSで撮影可能です。

X100Vでは操作体系も整理され、背面コンロールパネルには十字キーがなくなってジョイスティックのみが残されています。ボタンが少なすぎるように見えるかもしれませんが、練られた操作体系は使いやすいものとなっています。

USB端子はUSB Type-C(USB 3.1)になり、データ転送も高速化しています。バッテリー持ちはEVF使用時で270枚、OVF使用時で420枚と前機種より向上。SDスロットは残念ながらシングルスロットであまり速くないUHS-1のみをサポートしているため、連写枚数には制約がありそうです。

富士フイルムのカメラに触れたことがある人なら、よりシンプルになったX100Vの操作体系になれるのも難しくはないでしょう。一方でいくつかの機能へのアクセスは見落としがちで、自分でショートカットを設定する必要があります。これは筆者(米EngadgetのSteve Dent記者)の私見ですが、より重厚な富士フイルムカメラに親しんだことがある人なら、X100Vを触ってみると魅力はすぐに理解できることでしょう。

コンパクトカメラにしては高価格なX100Vですが、前モデルから着実に多くの改良を加えて、その価値を高めてきました。「FUJIFILM X100V」はシルバーモデルが2月下旬発売、ブラックモデルが3月発売です。
Source: 富士フイルム