3万円で買えるスマホ「TCL PLEX」レビュー。鮮やか画面と3眼カメラが持ち味
AlcatelやBlackBerry、PALMなどのブランドでスマートフォンを手掛けているTCLが、自社ブランドの製品としては初となるスマートフォン「TCL PLEX」をリリース。日本でも2019年12月に発売となりました。税込2万9800円という手ごろな価格ながら、テレビメーカーとして世界第2位の同社の技術を用いた6.53インチディスプレイや、4800万画素を含むトリプルカメラを搭載するなど、魅力的な端末となっています。

関連記事:
TCL、初の自社ブランド端末「TCL PLEX」を2万9800円で国内発売

そのTCL PLEXを代理店のFOXからお借りしたので、しばらく試用してみました。

発色が綺麗なディスプレイ

TCL PLEXの特徴は大きく2つ。ディスプレイとカメラにあります。まずディスプレイですが、6.53インチ(2340x1080 19.5:9)の液晶ディスプレイを搭載。フロントカメラは左上にパンチホールを採用しています。

そのディスプレイは、TCLがテレビで培った高画質化技術NXTVISIONを採用しており、発色はとても鮮やかです。TCLによると、人間の見た色をどれだけ正確に表現できるかを表す指標であるΔEが1以下(小さいほど正確)とのこと。ちなみにiPhone XS MaxとGalaxy S10+が1.9となっています。



NXTVIVONのマルチメディア改善機能はオフにすることも出来ますが、そうする積極的な理由はないでしょう。このほか、HDR10に対応するほか、SDRコンテンツをHDR相当へコンバートするSDR to HDRなどの機能を備えます。


▲画面の色(True Color)を「鮮やかな」にすると、画面の青みがやや強くなります。動画視聴などに向いているモードです

ディスプレイがいいと、動画視聴もさぞかし綺麗なのだろうと期待したのですが、残念ながらNetflixとAmazonプライムビデオは、SD画質でしか再生が出来ませんでした。これらのサービスでHD画質を再生するには、最低限、Widevineというデジタル著作権管理(DRM)技術のSecurity Level 1に対応している必要があるのですが、TCL PLEXはL3となっています。せっかくのディスプレイ性能が活かせないのではもったいないので、このあたりは何とかして欲しかったところです。


▲Netflixの再生仕様。TCL PLEX(左)とPixel 4(右)。Netflixでは、TCL PLEXは最大解像度がSDでHDRも利用できない

ちなみに、NXTVIVONのマルチメディア改善機能が有効になっていると、NetflixでもHDRのような効果(暗部が見やすくなる)は得られます。L1に対応しなかったのは、これで十分との考えがあったのかもしれません。なお、DRMが関係ないYouTubeでは、1080p・HDRでの再生が可能です。


夜景も綺麗に撮れるトリプルカメラ

もう一つの特徴であるカメラは、48MPのメインカメラに16MPの超広角カメラ、2MPの低光量カメラという組み合わせ。



ズームは10倍のデジタルズームまで対応していますが、ワンタッチで切り替えられるのは2倍まで。おそらく、2倍まで48MPの画像から切り出して、そこから先がデジタルズームになるのだと思います。

夜景での撮影は、標準カメラでシーン判定を行う夜景モードの他に、スーパーナイトモードも用意されています。スーパーナイトモードではズームなどが行えませんが、若干明るく映るようです。

以下、実際にいくつか撮影した写真を載せておきます。


▲標準

▲広角


▲背景をぼかせるポートレートモード。人物以外でも利用可能


▲スーパーナイトモード。通常の夜景撮影よりも若干青みが強くなる印象


▲標準(左)と広角(右)


▲2倍ズーム。十分に綺麗です


▲10倍ズーム

動作をカスタマイズできるスマートキー

本体左側面には、シングルプレス、ダブルプレス、長押しにそれぞれ動作を割り当てられるスマートキーを備えます。

▲電源ボタンと間違えそうになりますが、左にあるのはスマートキー

残念ながら、好きなアプリの起動はできず、決められた動作の中から選ぶ必要がありますが、カメラの起動や一発でミュートにできたりと、それなりに便利に使える機能です。

4台同時接続可能なスーパーBluetooth

そのほか、少し変わった機能としては、4台のBluetoothスピーカーやイヤホンと接続できるスーパーBluetoothがあります。2台以上を同時に接続すると、それぞれに音量やバランスを調整でき、臨場感あふれる音楽体験が可能です。

基本仕様の確認とベンチマーク

最後に、基本仕様のおさらいとベンチマーク結果を記載しておきます。

ディスプレイは6.53インチ 2340x1080の液晶ディスプレイに、SoCはSnapdragon 675。RAM6GB、ストレージは128GB。バッテリー容量は3820mAh、9V2AのQC3.0に対応。デュアルSIMで、片方のスロットはmicroSDと兼用。最大256GBをサポートします。最近は省かれがちな3.5mmジャックも、本体上部に備えます。


▲上面には3.5mmジャックも搭載

搭載OSはAndroid 9.0でAndroid 10にアップデート可能とのこと。

ベンチマーク結果は、AnTuTuのスコアが214256。さすがに最近のハイエンドモデルには及びませんが、普段使いで困ることはなさそうです。


▲左からAnTuTu、3DMark、Geekbench

十分に実用的。ただしディスプレイ性能を活かせないのが残念

最近は、低価格帯でも十分な仕様の端末が増えてきており、TCL PLEXも、おサイフケータイが使えなくても構わないならという条件付きでなら、メイン機として十分に使えるものだと感じます。

カメラも十分な性能がありますが、この辺りは段々と差別化が難しくなってきています。それだけに、差別化要因でもあり、本機種の特徴でもあるディスプレイが、Netflixなどの動画サービスで十分な性能を発揮できないのはとても残念。アップデートでどうにかなるものであるなら、ぜひ対応を期待したいところです。
Source: TCL PLEX