普段生活するなかで、自分に対する「印象」が定まってしまい、そのイメージをくつがえせない…。そんなことはありませんか?

子ども時代からテレビで活躍する「子役」も、まさにそんな「くつがえせないイメージ」に苦悩する職業だといいます。

今回は、R25世代を代表する元・子役須賀健太さんを直撃!

須賀さんが「自分に定着してしまったイメージをくつがえす」ために、どんな努力をしたのか…? 我々ビジネスパーソンにも参考になる、“苦悩の15年”を振り返ってもらいました。

〈聞き手=於ありさ〉


須賀健太(すが・けんた)】1994年10月19日生まれ。東京都出身。4歳で芸能活動を開始し、ドラマ『人にやさしく』(2002年/フジテレビ系)や映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)などで一躍ブレイク。現在は、ドラマ、映画のほか、舞台でも活躍中。7月からは東京・福岡・大阪で開催される劇団☆新感線「いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」に出演する

於:
小学生のころから、須賀さんが出演してる作品を観ていたので、不思議な気持ちというか…光栄です! 

須賀さん:
いやいや!


当時と変わらぬ愛くるしい笑顔

ドラマをきっかけにスターになった子役時代

於:
人気ドラマ『人にやさしく』に出演したときって、かなり小さかったですよね? 7歳とかでしたっけ?

須賀さん:
そうですね。

でも、『人にやさしく』に出るまでに3年くらいエキストラやってたんです。オーディションを受けたりもしていたんですけど、全然受からなくて。

もう辞めようと思っていたころだったんですよね。

於:
そうなんですか!?

須賀さん:
そんなときに出演が決まったから、自分の中では一気にブレイクしたという感覚も、売れっ子だったと思ったことも一度もないんです。


7歳にして、すでに下積み経験ありでしたか…

於:
そうなんですね…

そんななかでドラマに出演して、まわりの反応はどうでした?

須賀さん:
『人にやさしく』の1話が放送された次の日、自分のクラスの前にたくさん人がいて、「なんだろう?」って思っていたら、学校の生徒たちが僕のことを見に来てたんです。

あとは、「遠い親戚」がたくさん増えましたね。

「サインを書いて送ってくれ」って言われてました…


知らない親戚にサインを書くのは子役あるあるだそう

中高生時代は、「子役にとってのターニングポイント」

須賀さん:
そこまではよかったんです!

けど、子役にとってのターニングポイントである中学・高校時代が来てしまったんですよ。

於:
なぜ中高時代がターニングポイントになるんですか?

須賀さん:
その理由は3つあるんですけど…

まず1つめに、仕事がビックリするほど激減します。



須賀さん:
よく言われることですが、子役としてヒット作に恵まれると、そのイメージがつきすぎてしまうんですよ。

自分ではいろんな役に挑戦したいと思っていたんですが…

於:
なるほど…。では2つめの理由は?

須賀さん:
子役仲間がどんどん辞めていくことです。

人って不思議なもので、まわりに仲間がいれば、頑張りつづけることができるんですよ。でも、その仲間がふっといなくなると、急に「あれ? 自分はなんで頑張りつづけてるんだ?」って不安になってしまう。



須賀さん:
そして、3つめの理由は、まわりの売れてる同世代と比べてしまうからです。

僕、芸能コースがある高校に通っていたんですけど、子役のイメージがつきすぎず、売れてるクラスメイトは「仕事があるので…」って学校を休むんです。

それを見るたびに、内心めちゃめちゃ焦っていましたね。「もう学校もズル休みしちゃおうかな」って何度も思いました。

「自分についたイメージ」から脱出する方法

於:
そんな厳しい状況から、どうやって脱出できたんでしょうか…?



須賀さん:
仕事の意味を自分なりに考えることですよね。

於:
考える…?

須賀さん:
これは、13歳のときに出演した『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』のときに、水田伸生監督に教わって、ずっと心のなかにあったことなんですが…

水田監督は、僕のことを子役ではなく、役者として扱ってくれたんです。

於:
ん? 役者と子役はどう違うんですか?

須賀さん:
僕の解釈なんですけど、子役って「こうやって演じて」と言われた通りに演じることが求められているのに対して、役者って自分で考えて演じることが求められていると思います。

だから水田監督から「このシーンをどうやって演じるか明日までに考えてきて」って宿題を出されたときに、初めて共演者の先輩方と同じ土俵に立てた気がしたんですよね。

次の日、答え合わせをしたときに自分の考えと水田監督の考えが一致していたらうれしいし、ちょっと違ったらとにかくディスカッションする。そこに役者としての楽しさを見つけました。


そんな初主演作品『花田少年史』では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞

須賀さん:
その経験があったから、中高時代も、来た仕事に対しては「俺は役者だ、この仕事の意味は自分で考えるぞ」と思ってました。

於:
報われない状況でも、プロ意識を持ちつづけると。

須賀さん:
そうそう。あとは、「そのときできる勉強を本気でやる」ことですかね。

とにかく何かしてないと不安だったから、人生で一番勉強したんですよ。

そしたら、校内で1位になっちゃって(笑)。

於:
そこまでやりきるのがスゴすぎます…

須賀さん:
結局、どんな仕事が来るかって、自分でコントロールすることは難しいじゃないですか

だったら、「いつか仕事に役立つはずの勉強を、今しよう」って思ったんです。



「あぐらをかかない」ために、YouTubeにもチャレンジ

於:
そんなつらい状況を抜け出して、最近はテレビドラマだけでなく、舞台にも挑戦されていますよね?

須賀さん:
それもありますし…最近の挑戦といえば「YouTube」ですかね!

出典 Youtube

於:
YouTube!?

なぜYouTubeをはじめたんでしょうか?



須賀さん:
今もテレビにちょっと出てるからって、あぐらをかいてちゃだめだなって思って。

動画配信とかも簡単にできるようになって、誰でも有名人になれる時代じゃないですか? 発信できる環境があるなら、使わなきゃ損だと思うんですよ。



於:
反響はどうなんですか? やはりすぐ人気に…?

須賀さん:
いやいや! そんなラクじゃないですよ!

芸能人がYouTubeはじめたら、当たり前のようにチャンネル登録者数、何十万人まで増えるって思われてるかもしれませんけど、そんな甘いもんじゃないです

面白いものをコンスタントに配信しなきゃ登録者数が増えないどころか、見られないんですよ! 本当に! 


ファンの自宅にお伺いする町ぶら企画などを配信している須賀さんは、オフの日を返上してYouTubeの撮影をしているとのこと

於:
舞台に、撮影に、YouTubeに…現在はかなり忙しそうですね。

須賀さん:
いやいや! まだまだ忙しくする余地はありますよ!

僕としては、オフの日がないくらい、もっともっと忙しくしたいって思ってますもん。



須賀さん:
YouTubeや舞台に挑戦してみて思ったんですけど、チャレンジすることで、1人で考えているだけじゃ生まれない反響が生まれるんですよ。

とにかく忙しく動かないとダメですね。これって役者以外のお仕事にも言えるんじゃないかな…

まあ、それでも行動する勇気が出なかったら、僕のYouTube見て笑ってください! あ、これ書いてくださいね!(笑)



スター子役から挫折を味わった須賀さんが教えてくれた“自分についてしまったイメージをくつがえす”方法は、とにかく「考え抜く」ことと、今できる「勉強」をやりきること。

一度「意に沿わないレッテルを貼られてしまった」という人も、まずは今できる、目の前の仕事に目を向けてみてはいかがでしょうか。

〈取材・文=於ありさ(@okiarichan27)/撮影=為永直樹〉

須賀さんのYouTube&舞台も見逃せない!

文中でも話題に上がった須賀さんのYouTube『すがチャンネル』。須賀さんとマネージャーさん、スタッフさんとのやり取りは、一度見たらツボにハマります。

町ぶら企画の際の「おこづかい」はいいね数で決まるという過酷さ。ぜひみなさん、高評価ボタンを!

すがチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCcwEKf8AXIdIkmsdbiHt6zA

さらに、7月からは旗揚げ39周年を迎えた古田新太さんらが所属する劇団☆新感線の最新作「いのうえ歌舞伎《亞》 alternative『けむりの軍団』」にも出演。

役者・須賀健太の演技を生で見たいという方、必見です! 

『けむりの軍団』公式
http://www.vi-shinkansen.co.jp/kemurinogundan/



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