厳しい船出のソフトバンク、成長戦略は花開くか
「ソフトバンク・ビジョン・ファンドは通信網を使った世界中の新しい事業にどんどん投資している。その中で日本に最も合う事業から順番に展開していく」―。宮内社長は今後の成長戦略をこう説明する。新事業の基盤となるのがソフトバンクの顧客層だ。スマートフォン契約数2100万超、ブロードバンド契約数700万超、売上高1000億円以上の国内企業の94%と取引がある法人ビジネス、全国の販売店や技術者ネットワーク。この顧客基盤を生かしながら「成功したビジネスモデルを持つ世界各地の企業と連携して日本でサービスを始める動きを本格化した」(宮内社長)。
トヨタ自動車との共同出資会社「モネテクノロジーズ」も18年度中に事業を開始。タクシー配車基盤「ディディ」も18年度中に東京都内でサービスを始める。こうした新事業が花開けば、“逆境に強い”企業として再認識されることになる。
初値は売り出し価格割れの1463円
19日、東京証券取引所・市場第1部に上場したソフトバンクだが、上場後の初値は1463円と売り出し価格の1500円を2・5%下回り、厳しい船出となった。
今月6日に発生した大規模な通信障害や、第5世代通信(5G)の基地局などに中国製設備を使わない方針を固めたものの、現行設備の一部に華為技術(ファーウェイ)などの製品を使っている点などが投資家心理に影響したと見られる。
証券関係者からは「米中貿易摩擦の長期化や世界景気の先行き懸念が強まるなど、地合いが悪い中での上場だった」という声や「想像以上の株価下落に個人投資家が失望し、売りが広がっているように見えた。悪材料が出つくして反転も期待できるのでは」といった声が聞かれた。19日に定例会見した日本証券業協会の鈴木茂晴会長も、上場前のトラブルや足元での株式市場の低迷など「タイミングがやや悪かった」と指摘。その上で「配当利回りも高く、値付けは間違っていないのではないか」と述べた。
ソフトバンクだが、今後は「グローバルプレーヤーがどう動くか」(SMBC日興証券の太田千尋投資情報部部長)など、機関投資家の動きも注目される。
(文=水嶋真人、浅海宏規)
