六本木といえば、今ではヒルズ族や、おしゃれで洗練された街などの印象が強い。思い返せば上京当初、六本木のクラブに連れていかれたときは、急遽ボブ・サップのような屈強なブラザーと踊る羽目になり「六本木ってすごいところだぁー!」と驚いたものでした。

 そういえば、ドン・キホーテ六本木店の屋上階にできるといわれていた、「ハーフ・パイプ」という遊戯施設のその後が気になる。「ハーフ・パイプ」は文字通りスノー・ボードのハーフパイプを思わせる、いわゆる絶叫系アトラクション。リニアモーターの要領でU字型の走路を行ったり来たりしてスリルが楽しめる。東京タワーと六本木ヒルズを交互に眺めることができる、独自のエンターテイメントということだったのだが・・・。

 周辺住民は「ハーフパイプ」建設当初から、完成後におこる街の変化を危惧して不安や怒りの声を上げていた。「騒音・安全性の懸念」を訴え、周辺住民が中止を求めて署名活動を行っていたのは記憶に新しい。そもそも、建物を建設するには事前の説明や報告が必要なのだそうだが、今回のハーフ・パイプはあくまでも「遊戯施設」。遊戯施設にはそのような説明が必要ではないために、オープン直前なって問題が発生した。

 「どこまで事実関係を把握されているかわかりませんが、現在ドン・キホーテ、周辺住民の声、双方をお聞きし、調整をすすめている段階です」(港区 建設紛争調整 担当)

 実は、この取材をした直後。ドン・キホーテは、事実上開業を断念するとの発表を行った。

 遊びにでかけるだけなら、六本木はエンターテイメントを楽しめるオススメスポット。便利でユニークな施設が魅力的だろう。しかし、周辺に住んでいる人にとっては、遊戯施設一つとっても暮らす環境が大きく変わってくる大きな問題。今回は地元の粘り強い反対に押し切られた形だが、面白い試みをし続けるドン・キホーテのこと、次なる展開に期待したい。(押木真弓/verb)