分煙が進み、歩きたばこ禁止条例などを採用する自治体も増えている。愛煙家にとっては肩身が狭い時代だ。たばこ代だってバカにならないし、健康にも悪いから、いっそのこと禁煙してしまおう! と考えている人もいるのでは。でもいざ思い立っても、なかなか上手く行かないのが禁煙。最近は、ニコレットやニコチンパッチなど禁煙をサポートしてくれる商品がいろいろあるとはいえ、まだまだハードルが高いというのが現状だ。

 そんななか、アメリカで画期的な禁煙法が研究されているというニュースが飛び込んできた。それはニコチンワクチンだ。わ、ワクチン!? えっ、注射をしてまで?? そう、インフルエンザの予防接種などで使う、あのワクチンを使った禁煙方法なのだ。

 仕組みはこうだ。ニコチンワクチンを注射すると、体内に抗体ができる。この抗体は、体内にニコチンが入ってくると、ニコチンとくっつく。すると、抗体がくっついたニコチンは分子量が大きくなり、血液・脳関門を通過することができなくなり、ニコチンが脳内に達する時間も長くなる。そして、到達するニコチンの量も低下するのだとか。

 たばこを吸うと良い気分になるのは、ニコチンが脳を刺激するため。したがって、ニコチンワクチンを注射しておくと、たばこを吸ってもぜんぜん気分が良くならない身体になるのだ。だからカンタンに禁煙ができるというわけ。

 こんな画期的な禁煙法なら、早く日本にも上陸して欲しい! と思うわけだが、国内にニコチンワクチンを研究しているところが見つからなかった。厚生労働省に問い合わせてみても、「聞いたことがない」とつれないお返事。そこで、ニコレットを発売しているファイザーさんなら、何か知っているのでは、と問い合わせてみることに。

 「ニコチンワクチンについてはちょっと存じ上げないですね・・・、すいません。当社でも研究開発は行っておりません。ただ、当社では『バレニクリン』という飲む禁煙治療薬を研究しています。近い将来、日本でも発売が開始されると思いますので、もうしばらくお待ちください」(ファイザー株式会社 担当者)

 日本でのニコチンワクチンの登場は未知数。とりあえず、『バレニクリン』の登場を待つことにしますか。(梅中伸介/verb)