桃田賢斗【写真:平野貴也】

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桃田が帰国、2年前超える“世界一”語る

 バドミントンの国際大会、中国オープン、韓国オープンに出場していた日本代表が1日に帰国した。男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)は、韓国オープンで準々決勝に進出したが、左足かかとの痛みを理由に棄権し、西本拳太(トナミ運輸)との対戦は実現しなかった。桃田は「歩くときも少し痛かった。棄権する前日の試合、デンマークの選手と対戦した日の朝は、一番ひどかった。疲れが溜まるとともに痛みが増していく感じ。でも、棄権をしてからは2、3日完全休養を取って、少し良くなった」と棄権の理由を説明しつつ、軽傷であることを強調した。

 韓国オープンの棄権は残念だったが、遠征前のダイハツヨネックスジャパンオープンの優勝と、中国オープンの準優勝でポイントを稼いだ桃田は、大会後の27日に発表された世界ランキングで、日本人男子初の1位に上り詰めた。違法賭博店の利用発覚により2016年4月に出場停止処分を受ける前の2位がこれまでの最高位。「前は、世界ランク2位だったので、結果として超えられたんじゃないかなと思う」と進化に自信を見せたが、今後に向けては「世界ランク1位だった頃の、リー・チョンウェイ選手(マレーシア)の“圧倒的感”は、今の自分にはまったくない。一度(1位に)なることより、継続する方が大変だと思うので、少しでも長く継続できるように、より一層頑張りたい」と謙虚だった。

 折しも中国オープン決勝の前日だった22日には、ショッキングなニュースが飛び込んだ。桃田が憧れの存在として、林丹(リン・ダン=中国)とともに名を挙げる名選手が鼻のがんを患って治療を受けていることが明らかになった。桃田は「リー・チョンウェイ選手とする試合は、特別な感情がありますし、すごく学ぶことがたくさんあるので、少しでも早くコートに戻ってきてもらいたいなと思います」と憧れのレジェンドにエールを送った。

次戦は10月16日開幕のデンマークオープン

 世界ランク1位は、目指す存在になるための1つの条件に過ぎない。さらに勝ち続け、1位の座を長くキープしながら、コート内外で人を魅了する存在になる。そのためには、ケガ、プレッシャー、相手のいずれにも勝たなければならない。次戦は、10月16日から始まるデンマークオープンと、翌週に行われるフランスオープンの連戦を予定。デンマークでは、アジア大会と中国オープンで敗れたアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)と初戦で激突する。

 世界ランク1位になった実感を聞かれた桃田は「まだ連敗している相手もいるので」と今季唯一2度敗れている天敵への雪辱に闘志を燃やしていた。ギンティンのように新たな敵も現れる。2年後の東京五輪で金メダルに輝くまで、強敵の包囲網をくぐりながら、世界1位をキープし、レジェンドの域に足を踏み入れる。(平野 貴也 / Takaya Hirano)