リラックマモデルは米国好み? 日米の文化を越えた電子メモパッド「ブギーボード」というビジネス

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キングジムの「ブギーボード」は、鉛筆で紙に書くように、滑らかな書き心地を実現したデジタル文具だ。
専用スタイラスでなくても書き込みが可能で、筆圧に合わせて線の太さも変えられる。
さらにボタンを押せば、瞬時に画面を消去して何度も繰り返して使用できる。
ペーパーレスで環境にやさしいエコな製品でもある。

実は、ブギーボードをはじめとする電子メモは、国内より海外で人気の商品である。


■「面白い!」との第一印象でGOサイン
キングジムは、オフィスや家庭用の文具を扱う大手メーカーで、様々なアイデアあふれる文具やオフィス製品を提供している。

そんなキングジムが、なぜ、海外製のブギーボードを扱い始めたのだろうか?

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「新しい商品を企画して類似商品をネットで検索したところ、アメリカでブギーボードが流行っているという情報を見つけました。商品を取り寄せて上司に見せたところ、『すぐやれ!』という話になって、上司とすぐに米国に飛んで相手先と交渉して日本で発売することになったんです。」

キングジムでは、社長を含め役員が参加する「開発会議」が月1回のペースで実施されている。
同会議では、社員から新商品が提案され、一人でも賛同が得られれば、すぐに商品化される。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「『面白いね!』という人と、『何に使うの?』という人に分かれたそうですが、面白いという人がいたので、とりあえずやってみようということになりました。」

実はキングジムが海外で販売されている製品を扱うのは、ブギーボードが初めてだったそうだ。
実際に社内からは、トラブルを懸念する声もあったという。
しかし、「面白い」が優先され、日本での発売が実現した。
いかにも、アイデア商品を送り出してきたチャレンジするキングジムらしい決断だ。


株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏



■日米の文化の違いに一苦労
ブギーボードを日本で販売するにあたり、どのような試行錯誤があったのだろうか?

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「基本的に商品はアメリカと同じですが、パッケージや印刷物は日本仕様に変更しています。」

文化の違いによるトラブルは、あったのか。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「アメリカは家族をとても大切にする文化なので、仕事よりも家族の予定を優先されてしまうことがありました。そこを調整して何とか納期を間に合わせるというのが大変でした。」

休暇はそれほど長くはないが、担当者ごとに交代で休暇をとるため、全員の確認をとるのに4~5週間の時間がかかってしまうこともあるという。

試行錯誤の海外とのやりとりの中から、お互いの信頼がうまれていったという。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「日本のやり方を理解していただくのに、いろいろと大変だったんですけど、それが伝わったときとか。こちらのやり方を理解してもらえたときが一番うれしかったですね。」

ブギーボードは当初、キングジムの独占契約ではなかったという。
しかし、米国メーカーとの信頼関係を築けたことで、独占契約を取得した。

ビジネスに国境は無いというが、信頼を繋ぐことが、基本であることを再認識させられた。


日本で販売されている、様々な種類のブギーボード



■米国担当者に気に入られた、リラックマモデル
ブギーボードは現在、8タイプの製品を展開している。
製品の中には、筆者が好きな人気のリラックマモデルまで存在する。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「最初は、弊社がどのような会社か、わからないので、向こうが開発した製品をそのまま出すかたちでした。だんだん信頼され始めてから、弊社の意見も聞いてくださるようになりました。」

キングジムでは、人気製品のテプラでリラックマモデルを出していた。
「ほかにも応用できないか?」
との話が社内で持ち上がり、ブギーボードでやってみることになったそうだ。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「実は、相手のアメリカの方が凄く気に入っていまして、『凄く日本ぽくていい。』と言ってくれまして、これの原型は中止になったのですが、『これは残して欲しい!』と、向こうから言われているくらいですね。」


米国担当者に気に入られた、リラックマモデル


株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「アメリカで売られているけれども、日本で売られてないというのもあります。たとえば、アメリカで玩具として販売している商品は、弊社では合わないということで販売はしていません。会社で使う商品というのが基本となっています。あとは、弊社の品質基準を満たしたものになります。」

国内市場では、オフィス商品としての販売になるため、パッケージや品質基準にはかなり神経を使っているという。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「最初のサンプルと量産品とでは、弊社の意見で少し変わったという製品もあります。」


ブギーボードの最新モデルとなる「BB-11」は、シリーズ初の半透明液晶を採用した大画面モデル。
罫線や方眼包含が印刷されたテンプレート(2枚表裏印刷)を付属している。

米国での製品版は、スケジュールのテンプレートを採用していたという。
日本ではあまり馴染みのないものだったので、オフィスに適した方眼が印刷されたテンプレートに変更された。
さらに罫線の幅は、英語に比べて日本語は幅が広く必要なため、幅を広げた日本仕様となっている。


ブギーボードは現在、8タイプの製品を展開している



■画面が保存できるようになるかも?
ブギーボードには、画面を保存する機能は無い。
画面を保存したいというニーズや要望はないのだろうか?

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「アメリカでは、専用のスマホのアプリが出ていて、そのアプリを使用して保存できるモデルもあります。キングジムではまだアプリは出していませんが、ユーザーさんからは『保存したい!』という声もあるので、本体に保存できなくても、保存する方法は検討して行きたいと思っています。」

書いたメモを保存したいという声がある反面、法人利用では、
「記録(メモ)が残らない」
という点が、セキュリティの高さに繋がり、多く利用されている面もある。

たとえば、サポートセンターや受付などで、個人情報を確認する際など、
紙のメモのように、モノとして残ると、情報の漏えいに繋がることもある。
その点、その場で消去できるブギーボードは、シュレッダーの手間や紙の破棄でのトラブルや情報漏れを未然にふせぐことができる。

そんなブギーボードの今後の展開について、うかがってみた。

株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏
「もちろんアメリカで出たものを吟味して出すというのは変わらないのですが、こちらから意見を出して弊社オリジナルの製品を作ってもらいたいと思っているので、普通のブギーボードだけでなく、何かプラスアルファができたら良いなと思っています。」


株式会社キングジム 開発部 今田ひろみ氏


プラスアルファについては具体的に教えていただけなかったが、「ブギーボード+アルファ」で何か便利になるものを想定しているそうだ。

日本オリジナルのモデル登場に、期待したいとろころだ。


ITライフハック 関口哲司