山田直輝が小さく笑った夜 大怪我から復活を遂げ、7年ぶりに叶えられた願い
「90分試合に出て勝てたことは、すごく嬉しいです。勝つためにやっているので」
「相手(名古屋)はラインが高く、サイドの選手がちょっと裏を空けることはスカウティングで伝えられていて、そこを突くことと守備のところでボールに激しくいくこと、それに裏を越えられたらしっかり戻ること。そういったところは、みんなで表現できたと思います」
そのなかで山田は敵陣のスペースへ顔を出してボールを引き出し、攻撃のリズムを作り出そうとした。ただ、彼自身のなかでプラン変更を余儀なくされた。
「今日は攻撃面でボールのフィーリングなどがちょっと良くなくて、上手く攻撃に絡めないなと感じ、守備で走るしかないなと。そこから守備で走ることにシフトしてやっていました。自分の評価としては良くなかったですが、チームのために戦えたことは良かったと受け止めています」
そう語る山田が、今季こだわっているのが「チームを勝利に導くこと」。その意味では、90分ピッチに立ち続けて、何度かチャンスに絡み、ほぼピンチなく2-0で勝てたことは、この日のノルマを達成できたと言えるかもしれない。
「埼スタでフル出場して勝ったのは……いつ以来なのか思い出せないですけど、ルヴァンカップを優勝するためには大事な試合でした。平日の夜にもかかわらず埼スタで良い雰囲気を作ってくれたたくさんのサポーターのためにも、勝てて良かったです」
山田は小さく笑った。
山田がホームでフル出場して勝利したのはいつか。調べてみたところ、2011年6月22日、17節のアビスパ福岡戦(〇3-0)まで遡る。実に約7年ぶりだ。埼スタで先発しての勝利は14年4月6日のルヴァンカップ・徳島ヴォルティス戦(〇4-3)で記録しているが、ハーフタイムに交代を告げられている。
もちろん昨季、J2とはいえ湘南でコンスタントに先発フル出場し、攻撃の大動脈としてJ1昇格に貢献している。それを踏まえれば、先発することは本人にとっては“当たり前”でなければならないと感じているに違いない。
とはいえ、度重なる大きな怪我を乗り越えて復活を遂げ、本人がまず望んでいた「埼スタのピッチに立って勝つこと」という一つの結果を刻めた。ポジティブな第一歩と受け止めていいはずだ。
「すべてのタイトルを獲ることが今年の目標。Jリーグではまだチャンスはあると思っていますし、まず中断期間までルヴァンカップを含めて3試合。もちろんすべて勝ちに行きます」
オリヴェイラ監督の就任後、全4試合で山田はベンチ入りしており(リーグ1試合に出場)、新指揮官の期待の大きさが伝わってくる。この日、静かに踏み出した一歩を原動力に、ぐっと力強く、大きく踏み出したい。
取材・文:塚越 始

