画像は青山学院大学の公式サイトから

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青山学院大学は、2018年5月6日、インターネット掲示板での爆破予告を受け、ゴールデンウィーク明けの7日は休校とし、青山・相模原の両キャンパスに立ち入りを禁止すると発表した。

7日17時には安全が確認され、翌日以降は通常通りとなることが発表されたものの。ネットへの書き込みという手軽さからか、こうした犯行は後を絶たない。こうした状況に対して弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士は、刑事罰に加えて民事責任が生じる可能性もあると、警鐘を鳴らした。

8日からは通常授業だが... 嘘の爆破予告相次ぐ

青山学院大学は、6日、爆破予告を受けて休講とすることを伝え、「本件について警察と連携し、必要な措置を講じております」と、対策について発表した。

範囲は「青山学院大学の敷地」と広いため、青山キャンパスだけでなく相模原キャンパスも立ち入り禁止になったが、警察と協力しての捜査の結果不審物が見つからなかったことから、7日17時、8日以降は立ち入り禁止を解除、通常通りになることを発表した。

インターネットを利用し、大学などの施設を対象とした爆破予告は近年数を増やしており、17年11月7日には早稲田大学で一部授業が休講となっている。

犯人が逮捕されたケースでは、18年3月には日本大学の学生が「授業が苦痛」という理由で大学に対して爆破予告を出した事件の他、16年2月、役所などに対する爆破予告を50件以上繰り返した事件などがあった。

悪質な犯罪の賠償責任は自己破産でも免除不可

青山学院大学の件の犯人がどういった動機で予告したかは不明だが、ゴールデンウィーク明けの月曜日ということもあり、ツイッターでは休みが終わることを拒んだ学生の犯行ではないかという推測が多数上がった。

徳原弁護士は、今回のケースについては刑法第233条の偽計業務妨害罪に値する可能性があるものの、過去の例から

「今回のような爆破予告事件において成立しうる罪は、『威力業務妨害罪(刑法第234条)』です。
相手方に恐怖を抱かせるような爆破という文言を用いているため、通常であれば脅迫罪となりそうですが、爆破予告の場合、脅迫の対象が広範囲に及ぶために威力業務妨害罪といえるでしょう。被害を防止するためにも人員を配置したり、今回であれば休校をしたりと、様々な対応を余儀なくされます。このように、爆破予告をすることで、本来の業務(今回であれば、大学の運営)を妨害していることから、威力業務妨害罪が成立します」

と解説した。

この場合、法律上は3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられるというが、

「事情にもよりますが、罰金刑の場合もあれば、懲役1〜2年・執行猶予3年程度の場合もあります」

という。

更に、今回のケースでは民事責任が生じる可能性もあるといい、

爆破予告となれば、上記のとおり人員の配置など、本来であれば不要な費用が生じる可能性があります。また、今回のように被害者が大学であるとすれば、休校に伴うことで生じえた損害、たとえば振替授業のために要した人件費なども考えられます」

ことから、

「そうすると、額としては大きくなり、とても個人では支払えないかもしれません。自己破産すれば免れられるとお考えの方もいらっしゃるかもわかりませんが、悪質な犯罪による損害賠償の場合には、自己破産したとしても免れられない可能性があります」

と、賠償額が巨額になりかねないこと、自己破産でも免じられない可能性があることを指摘した。

徳原弁護士は、

「匿名の掲示板だから逮捕されることはない、と安易な考えのもとに、爆破予告などをすることは立派な犯罪です。書き込んだ人物を特定することも可能な場合もありますし、その場合には逮捕される可能性も十分あります。決してマネしないようにしてください」

と、相次ぐ爆破予告の重大さを強調した。