日本の自殺者が、ここ数年3万人を超え続けていること、ご存知の方も多いだろう。こんなにも自殺者が増え続けているのに、これといった対策がとられていないように感じるのは、私だけだろうか?

 日本における自殺予防対策がうまく進まないのには、いくつかの理由がある。一番大きな理由としては、自殺に対する偏見が強く、情報収集が困難であったということが挙げられる。情報が少ないため、現状や自殺の原因について把握できず、有効な予防策を立てることができなかったのだ。

 しかし、自殺者が増え続ける中、いつまでも何もしないままではいられない。国や各自治体が対応に苦慮する一方、確実に成果を上げつつある地域もある。それは、東北地方。特に県全体で取り組んでいるのが、秋田県だ。でも、なぜこの地域の自殺予防対策が他に比べて進んでいるのだろうか?

 秋田大学医学部自殺予防研究プロジェクトに参加する、本橋豊氏に伺った。

 東北地方で自殺予防対策が進んでいるのはなぜなんでしょう?

 「その理由は、自殺率の高さにあります。人数では東京などの方が圧倒的に多いのですが、人口に占める割合は東北地方などの方が高いのです。また、自殺原因にも地域性がみられ、高齢化、過疎化が進む中で田舎に住む中高年層の不安が心の健康を脅かしています。また、経済的困難なども地方では深刻な問題になっています」(本橋氏)

 秋田県は早くから自殺問題に取り組んでいますが、どんなところが成果につながっているのですか?

 「県内では、2000年頃から自殺予防に力を入れ始めました。行政、民間に関わらず全県をあげて取り組み、住民参加を重視した取り組みを行ったことなどが良かったのだと思います。自らが参加することで住民への啓発が進み、県民の意識も変わりました」(同氏)

 さらに本橋氏は今後の課題として、「自死遺族への対応」や「都市部における対策」などを挙げていた。

 このように、自殺問題に真剣に取り組むには、行政、民間を問わず全ての住民の協力と意識改革が必要不可欠。まずは、しっかりとした、調査・分析から始める必要がある。対応の遅れを指摘する声が多い中、各行政機関には、できるだけ早く重い腰を上げていただきたいところだ。(文/verb)

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