5試合ぶりのゴールでマインツを敗戦から救った武藤(9番)。技巧に満ちた“らしい”一発だった。(C)Getty Images

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 スクランブル出場をものともせず、マインツ武藤嘉紀がファインゴールを決めて見せた。
 
 現地時間金曜日のナイトゲーム、マインツvsヴォルフスブルクの一戦は1-1のドローに終わった。開始6分に先制されたホームチームは、前半終了間際の44分に武藤のゴールで同点に追いつく。中央で素早くバスを繋いだマインツは左サイドのゲリット・ホルトマンに展開。放たれたグラウンダーのクロスに反応した日本代表FWは、左足で軽くダイレクトで合わせてコースを変え、これが見事に敵GKクーン・カステールスの左を抜いたのだ。

 
 武藤はその4分前、首を傷めたエミル・ベルグレーンに代わって急きょピッチに投入されたばかりだった。ブンデスリーガの公式ツイッターは「ゲームに参加してわずか2タッチ目でゴールを決めた」と紹介。さらに公式は「これはスキルによるもの? それとも単にラッキーだった?」との緊急アンケートを実施した。読者の回答結果は、前者が52%、後者が48%というもので、かろうじて“技あり認定”されている。

 
 スコアはこのまま動かず、試合は1-1で終了。サッカー専門誌『KICKER』は「あの難しい状況下で上手く試合に入り、ムトウはきっちりチャンスで仕事をした。わずか24時間になるかもしれないが、マインツを降格圏から浮上させる貴重なゴールだ」と評し、スポーツ紙『BILD』は「日本人ジョーカーが電光石火の一撃をお見舞いした。ホルトマンからのボールは簡単なものではなかったが、ムトウは巧みに抑えてゴールに流し込んだのだ。見事だった」と称えた。
 
 加えて全国経済紙『Handelsblatt』は、試合4日前にヴォルフスブルクの新指揮官に就任したブルーノ・ラッバディアに絡めて、「ブンデスリーガに17か月ぶりで帰還したラッバディアにとっては、完璧なスタートとはならなかった。ムトウの鮮やかなゴールがそれをかき消したのだ。これでヴォルフスブルクはリーグ最多13回目の引き分け。苦しい戦いは続く」と報じた。
 
 2試合連続でベンチスタートだった武藤にとっては、5試合ぶりのゴール(今季7点目)で存在を示すゲームとなった。これを機にふたたび上昇曲線を描けるか。次節の相手は同胞の酒井高徳、伊藤達哉を擁するハンブルガーSVだ。