【ファンキー通信】キーボードを押した音でパスワードがバレる?

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 どうも最近、職場のパソコンが、留守中に勝手にいじられている気がしてならない。でも、パソコンはパスワードで保護しているし、そのパスワードだって頻繁に変えてある。なのに、どうして? そんな人がいるとしたら、それはひょっとするとあなたのタイプ音が盗聴されているから、かもしれませんよ。

 というのも、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の研究者が、パソコンのキーボードを入力したときに鳴る、あのカタカタというタイプ音だけで、入力した内容が再現できる方法を開発したというのです。

 つまり、パスワードを秘密にしていても、入力するときの音を聞かれてしまうだけで、どの文字を打ったのか、その内容が分かってしまうのだ。

 バークレー校のダグ・タイガー教授が開発したのは、誰かがたたいているタイピングの音を分析し、その内容を再現するソフトウェア。実験では、実に96%もの確率で、内容を正確に再現したという。

 教授によると、たたいたキーボードの文字によって、音が微妙に違い、それらを統計的学習理論を用いて分析することで、内容を推測できるというのだ。こうしたアイディア自体は、冷戦時代からあり、主にスパイ用に研究が進められていたという話もある。

 お〜こわ。でも、こういう研究発表には、眉唾ものも多かったりする。本当にそんなことが可能なんだろうか。そこで、凶悪事件などの声紋分析の第一人者、日本音響研究所の鈴木所長にお話を伺った。

 「考え方としては面白いと思いますね。コンピュータに曖昧さを持たせたのは、評価できます。でも、実用化にはまだほど遠いと思いますよ。私も試してみたんですが、使用するキーボードの種類やタイプする人によって音が微妙に違います。ですから、内容を推測するためには、膨大なデータが必要になってくるでしょうね」

 すべてのキーボードの、すべてのキーの音を収録し、さらにさまざまな人のタイピング音を収集する。そこまでして、ようやく実用化が見えてくるとか。ひとまずは安心だ。

 さらに、このソフトウェアには欠点があって、周りが騒々しいと認識できないという。こうなったら、歌いながらパスワードを入力するようにしますか。でも、うっかりパスワードを口ずさまないようにね。(文/verb)