【シビック販売好調】受注の半数がMT 何が起こっているのか?
2017年9月に日本国内に復帰したシビックは「爆発的売れ行き」と言って良いようだ。2010年に日本国内での販売を中止して以来、久々の国内復帰だが、車格は上がり戸惑うオールドファンもあるようだ。販売目標は月2,000台だったが、10月までの累計では1万2,000台を記録したそうだ。
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このところホンダらしさが見受けられない日本国内の車種ラインナップであったが、久々に「走りに徹した」タイプRをそろえて、シビックがスポーツ車としてイメージされたのであろう。Cセグメントのボディはプラットフォームから開発され、ハッチバックもセダンも同時に開発されている。
近年の各社の傾向として、剛性を上げたプラットフォーム、軽量化の進んだボディで、スポーツ性能に欠かせない低重心・低慣性を求めた仕上がりとなり、タイプRに相応しい出来となっている。タイプRはMTのみだが、タイプRを除いた受注数の中でも35%程度がMTとなっているようだ。
このご時世に35%がMT。シリーズ全体で約半数がMTであるとの数字は、驚異的である。ミニバン・SUVなど背の高い車種が人気であるのに、どうしたことであるのか?豊田章男トヨタ社長が目指すスポーツ性能の高いクルマが、車の人気を高めるとする考え方であれば、歓迎すべき傾向だ。
車の人気が、ミニバン、SUVなどの「自分の部屋」と言った感覚と「スポーツ性能」に2極化してきているのかもしれない。「車は動くもの」であり、安全のためには、走ることを前提とした理解が必要だ。そのためには車の持つスポーツ性能は欠かせない。
それにつけてもタイプRでなくともMTが選ばれる理由は何か?若者の車に対する人気が戻ってくる傾向なのであろうか?それとも「オールドファン」が懐かしんで、隠居後の楽しみにMTを選んでいるのか、データを解析してほしいものだ。
10月までの受注数1万2,000台のうちハッチバックとセダンの比率は半々のようで、タイプRはハッチバックで造られている。スポーツカーのイメージがハッチバックに強いのだが、軽量化の意味ではセダンの方が有利になるのが通常であった。それはガラス面積が大きくなること、5ドアになるので構造上の補強が増えることなどだ。しかし、今回のシビックのデザインでは、最大の重量物ガラス面積はセダンとハッチバックは変わらないようだが車両重量では50kgの差で、セダンが軽い。しかし、ハッチバック6速MTを選べば、セダンATとは20kgの差に収まる。
タイプRはセダンATより90kg重くなっており、最近のレーシングスプリットとしては「豪華装備」が優先するようだ。これも時代の趨勢で安全装置、運転支援装置が優先するようだが、FFであることが少々残念だ。FFとFRの差はパワースライドが使えるのかどうかにある。素人はスピンターンより、パワードリフトを使った方が安全なのだ。砂利道など滑る路面を走るとき、パワースライドを使うと安全で操作が易しいのだ。
450万円の車では、望んではいけないのであろうが、国内ではGT-Rに次ぐレーシングスプリットを取り入れた車種であったので、新方式電動を取り入れた4WDがほしかった。ホンダNSXに採用されたハイブリッド4WD方式があるので、簡易版を取り入れられなかったのであろうか?しかし、乗ってみる価値は十分にある。