ホンダの新型「N-BOX」。(写真: 本田技研工業の発表資料より)

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 11月9日、日本自動車殿堂は「ホンダ・N-BOX」を「カーオブザイヤー」に選んだ。えっ、カーオブザイヤーって12月じゃなかった?と思う人もいるだろう。これは、2001年に設立されたNPO法人日本自動車殿堂の、各年度の最も優れた乗用車とその開発グループを表彰することを目的とした選考であり、12月の「日本カーオブザイヤー」とは別物である。

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■日本自動車殿堂ってなんだ? 自動車殿堂はアメリカにもあり、その設立は1939年と歴史のあるものだ。“自動車産業の殿堂”ということで、ヘンリー・フォード、ウォルター・クライスラーなど自動車産業に寄与した人物が殿堂入りしている。日本人の、本田宗一郎、豊田英二、田口玄一、片山豊、梁瀬次郎、石橋正二郎、豊田章一郎も入っているのだ。(敬称略)

 一方、日本自動車殿堂には人物「殿堂者」だけでなく、「歴史車」もあって、マツダ・コスモスポーツ、スバル・360、トヨタ・スポーツ800、ホンダ・スーパーカブなども殿堂入りしている。日本自動車殿堂は、自動車社会の構築とその発展に貢献した「人物」も当然なのだが、「自動車自体に付随する技術や文化」にも価値を見出し、後世に遺産として残していく目的があるようだ。

 さらに各年に選考される「イヤー賞」も設けられており、つまりはこれが「日本自動車殿堂カーオブザイヤー」であり、今年は「ホンダ・N-BOX」が受賞したということなのだ。

ホンダ・NBOX受賞、3つの理由は? 1つ目の理由は、走行性・快適性・経済性の高度な融合である。軽自動車は、現在の日本の「生活スタイル」そのものを反映している車であり、経済的、文化的意味がある。その中でもホンダ・N-BOXは、2017年の月別販売台数の統計からも、8月以外はトップの座を現在まで誇っており、象徴的存在であろう。

 2つ目の理由は、クラス最高水準の全方位衝突安全対策。N-BOXは今年9月に新型を発売したが、このクラスのクルマで、安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を全グレードに標準装備したことが、ユーザーにも評価されている。

 3つ目は、助手席ロングスライドによる利便性で、このような新機能を加えても約80kgの軽量化を実現していることは、自動車製造においての努力の跡がみえる。

 先代のN-BOXが車両重量950kg。そこから150kg軽量化して、70kgの装備品を加え80kgの軽量化に成功している。社内計測では80kgの軽量化だが、カタログ記載の車両重量はベンチシートタイプのFF車で60kg軽くなった。ロングスライド機構を採用して重くなったが、それでも衝突安全性を高めて20kgの軽量化となった。

 この軽量化は主に高張力鋼鈑の採用のようだが、ボディやシャーシ、エンジンなど全てに渡っているようだ。軽量化は目立たないが、安全性や燃費向上についても基礎となる技術で、これからも盛んに進められていくだろう。軽量小型で衝突安全、運転支援システムなどの機能を高めた軽自動車こそ、EVに相応しい自動車と言えるのだ。EV軽自動車の登場は新市場を開拓する可能性がある。内外装品を簡素化した、安いタウンカーの発売を希望する。

 このようなことから、「日本自動車殿堂カーオブザイヤー」にふさわしいと評価されたのであろう。

 一方、「日本カーオブザイヤー」は8日、ノミネート車から上位10台のクルマが発表されている。その中にもちろん、ホンダ・N-BOX、N-BOXカスタムも入っているのだが、12月11日の発表で、栄えある大賞となるのかどうか興味のあるところである。自動車ファンにとっては、2回楽しみがあるということである。