(C)EARTHLODGE 船木卓也

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いまやアメリカのプロスポーツが気軽に見られる時代だが、メジャーリーグに「インディアンズ」や「ブレーブス」などといったチーム名があるのをご存じだろうか? 日本人には馴染みが薄いが、これはアメリカ大陸の先住民族であるアメリカン・インディアン(最近はネイティブ・アメリカンと呼ぶ場合が多い)に由来する名前だ。

 先住民族たちには、「勇敢な戦士」といったイメージがあるので、それにチームもあやかろうというわけだ。しかし、アメリカン・インディアンたちは、長年こうしたチーム名は侮辱的であるとして、抗議してきたという歴史がある。現在もこうしたチーム名は残っているので、抗議が受け入れられていない。

 しかも、すでにチーム名として定着してしまっているので、抗議があること自体、 知らないアメリカ人も多いかもしれない。

 しかし、ここへ来て事態が大きく動こうとしているのだ。

 それは、米国の大学スポーツ組織であるNCAA(全米大学体育協会)が、主催する88の全米選手権において、先住民族に由来する愛称をチーム名に使用することを禁止すると決定したからだ。

 理由は、もちろん差別的だから。禁止するのは「人種や民族に由来する敵対的で口汚いマスコットや愛称、イメージ」で、すでに18の大学に変更を促したとか。

 この件について、ネイティブ・アメリカンの文化に詳しい船木卓也さんは、「侮辱的なチーム名や商品名については、日頃からネイティブ・アメリカンの団体などが自分たちの権利を守るために圧力をかけています。しかし、一方でネイティブたちの中に、そうしたチーム名を受け入れてしまっているという現状もあります。したがってNCAA側から、禁止の決定がされるというのは、大きな一歩ですね」と語ってくれた。

 とはいえ、大学側の反発も強く、予断を許さない状況だ。しかし、ひょっとしたらこれを機に、アメリカのスポーツ界から、「インディアンズ」や「ブレーブス」といったチーム名が消えることになるのかもしれない。(文/verb)