選挙には、とにかく金がかかる。「金権政治」と揶揄された昔ほどではないが、それでも金はかかる。もちろん、お金をかけない選挙活動の方法もあるとは思うけど、まったくお金を使わずに立候補することは不可能だ。なぜなら、立候補するためには、まずお金を収めなければいけないのだ。

 供託金といって、選挙(※町村議会の議員選挙をのぞく)の候補者は、法律で定められた一定の金額、またはこれに相当する額面の国債証書をあらかじめ収めることが、義務付けられている。

 金額は、選挙の種類によって異なっていて、例えば、衆議院・参議院・都道府県知事選の場合で300万円。指定都市の市長で240万円。都道府県議会の議員選挙で60万円といった具合だ。

 しかも、この供託金は、得票数が法律で規定する数(供託物没収点)に達しない場合には、没収されてしまうのだ。ちなみに衆議院選の供託物没収点は、有効投票総数÷10(参議院の場合は、有効投票総数÷当該選挙区の議員定数÷8)。

 なぜ、このような制度になっているのかというと、それは冷やかしを防止するためだ。供託金制度がなければ、本当は当選する意志もない、ただの売名行為の候補者が乱立してしまう危険がある。しかし、供託金制度があれば、少なくともお金を払ってまで立候補するだけの強い意志がある候補者しか、残らないというわけだ。もちろん、供託金を没収されても痛くもかゆくもないという、金持ちなら別ですが。

 というわけで、お金はまったくないが、日本を変えてみたいという情熱にあふれた人。そんな人も、なんとかして300万円は自分で工面しましょう。でないと、スタートラインにも立つことができませんから。(文/verb)