【ファンキー通信】ホンダがジェット機を作ったら

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 世界的バイクメーカー、あるいは自動車メーカーとして知られるホンダだが、実はそれ以外の製品も作っている。例えば、以前このコーナーでもご紹介した大豆もそのひとつだ。そして、先日またしても、ホンダが手がける意外な製品に関するニュースが飛び込んできた。

 去る7月28日、アメリカ・ウイスコンシン州オシュコシュで開催された、世界で最も華やかな飛行機ファンの祭典「Experimental Aircraft Association AirVenture 2005」で、自社開発した小型ジェット機「ホンダジェット」を初めて一般公開したのだ。

 ホンダがジェット機!? 意外な事実に驚く人も多いと思うが、関係者にとっては極めて自然なことだったという。

 「弊社は人々の移動手段を提供する、モビリティカンパニーを標榜しています。そのためバイクや自動車以外にも、モーターボート用エンジンなども生産しています。したがって、空の移動手段である航空産業への進出も、自然な流れでした」(ホンダ 広報担当者)

 ホンダの空への夢の源流は、およそ40年前にまで遡る。創業者の故本田宗一郎氏は、バイクや自動車を作る傍ら、空に思いを馳せ、1962年には空冷V8航空機エンジン開発の発表までしたという。残念ながら、計画は頓挫したが、その夢が消えることはなかった。

 1986年に基礎研究所を設立すると同時に、小型ジェットエンジンとジェット機の研究も再開(同時にあのASIMOの研究もこのときスタートした)。1999年からはHF118エンジンの開発に着手。2003年12月には、そのエンジンをホンダジェットに搭載した飛行試験にも成功した。昨年末には、GEと合弁で小型ジェット機向けエンジンの開発・生産会社を設立。そして満を持して、今回のお披露目に至ったのだ。

 独創的なバイクや自動車を作ることで有名なホンダ。もちろんジェット機にもホンダらしさが随所に見られる。

 「ホンダジェットの機体は、独特の形状をしていて、空力に優れています。だから自社のエンジンと合わせると、従来の機体に比べて4割も燃費が良いんです。さらにエンジンを翼の上に取り付けることで、キャビンの広さを格段に向上させました。エンジンを翼の上に付けるなんて、空力の常識から外れたことです」(同)

 実用化にはもうしばらく時間がかかるということだが、これからもホンダから目が離せない。 (文/verb)