産後うつの母親、病気のわが子を窒息死させようとする(画像は『WCNC.com 2017年6月20日付「Mother accused of suffocating 1-year-old charged with attempted murder, bond upped」(Photo: Charlotte-Mecklenburg Police Dept.)』のスクリーンショット)

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病弱に生まれ、入院生活が続いている1歳のわが子を窒息死させようとした母親。彼女には子どもを愛し、育てたいとする母性が欠けていたのか。それとも…。わが子に対する殺人未遂事件の裁判がスタートしたが、次第にみえてきたのは母親が抱えていた「産後うつ」の問題であった。

米ノースカロライナ州シャーロット市の病院「Levine's Children's Hospital」に入院中の息子(1歳)の口を枕でふさぎ、虐待および殺人未遂容疑で逮捕・起訴されていた母親のマギー・ディクソン(32)。モニターに異常な波が現れたことに気づいた看護師によって警察に通報された。監視カメラの映像分析でもそれが確認されていたなか、被告は20日午後にメクレンバーグ郡裁判所に出廷。裁判官は被告の保釈保証金を30万ドルと設定し、仮に保釈となっても被告は同病院にも息子にも近づいてはならないとする「接近禁止命令」を言い渡した。

『NBC Charlotte』がマギーの暮らすロッキンガムの近隣住民に取材すると、「彼女は産後うつと闘っていたに違いない」「息子さんは早産のため低体重で誕生し、健康上いくつかの問題を抱えていると聞く。そんななかマギーは最近になって旦那さんと別れてしまった。こういったことが原因ではないか」という声が聞こえてきた。これに産後の女性をサポートする『Postpartum Support International Carolinas』という組織の理事を務めるジュディス・ソーン博士は、「産後に起きやすい合併症の1つが産後うつです。アメリカでは毎年約95万人、産婦の7人に1人がこれを発症していることになります。これはあくまでも医療機関にかかってそれが確認された女性たちの数字で、実際の発症率はもっと高いように思います」と話す。

ソーン博士によれば、産後うつの発症は産後すぐではなく2〜3か月後になることもあり、治療せずに放置すれば2年ほど続く可能性もあるとのこと。妄想や幻覚が現れてくるようなら子供の身の安全についても心配すべきであるという。夫(パートナー)がしっかりと理解していない、周囲のサポートが得られていないケースも多く、「有効な治療法もあるので産後の女性については周囲がもっと注意を払ってほしい」とまとめた。

しっかりとしたナニーを雇うなど孤独で過酷な育児をしているとは思えない、たとえばハリウッド女優グウィネス・パルトロウやイギリスの歌姫アデルもこの病を経験している。多くの女性がこの裁判の行方を見守っているが、シャーロット=メクレンバーグ警察は被告が産後うつを抱えていたかどうかについて「まだ確認していない」とのことだ。

画像は『WCNC.com 2017年6月20日付「Mother accused of suffocating 1-year-old charged with attempted murder, bond upped」(Photo: Charlotte-Mecklenburg Police Dept.)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)