去る8月1日にLLP法が施行された。この法案は企業同士のジョイントベンチャーや、専門人材の共同事業を振興するために制度化されたもので、英国では2000年に創設されて以来、1万を超えるLLPが誕生している。

 と言われても何のことやらよくわからない・・・。

 LLPとは日本語になおすと、有限責任事業組合。わかりやすく言えば、様々な分野・立場の人、または法人同士のコラボレーションを促し、新しい技術やビジネスを誕生させて産業を活発化させましょうということ。

 今までの日本では共同事業を起こす場合、二つの方法があった。ひとつは株式会社。この場合、出資者は有限責任で出資額以上の損失を被ることはない代わりに、取締役の配置の義務や配当金への課税など煩わしい面も多かった。もうひとつは、民法組合を作るという方法。こちらは、出資額の多寡にかかわらず、貢献度によって配当金が分配されたり、組合そのものには課税されないというメリットがあるものの、出資者は無限責任というリスクがあった。

 しかし、今回制度化されたLLPというのは、株式会社と民法組合のいいとこ取り。お金をたくさん出せなくても、事業に貢献した分だけ配当金がもらえて、出資額以上の損をすることがない有限責任制。しかも、LLPで出した利益に対しては、法人税を支払わなくていいのだ。

 これにより、中小企業と大企業が対等な関係で共同事業を起こしたり、あるいは専門分野に精通し特許を数多く取得している大学教授と企業がコラボレートして、新技術の製品化や販売を手掛けるベンチャー企業を起こしたり。そんな新事業がさかんになると期待されているのである。

 8月1日の施行の当日、LLPの第1号になったのは、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』の著者である山田真哉氏を含む6人で構成される、インブルームLLP。なんでも、第1号を勝ち取るため、法務局の前に夜中から並んでいたそうだ。(ただし、受付開始の8時半になっても第2号は現れなかったとか。あまり知られてないんでしょうかね?)

 しかし、これから新しい事業を起こそうと考えてる人にとっては、なんともおいしい話。このLLPを活用して、不景気を吹き飛ばすような新事業が誕生してくれることを願ってやみませんな。(文/verb)