また、採用した人材の転職先での活躍を促す施策も欠かせない。同社では医療機関特化型ストレスチェック代行や組織診断サービスなども提供している。 飲食業界では新規参入や上場を目指すような成長企業が多く、求人を出しても応募が十分に集まらない深刻な状況で、慢性的な人材不足となっている。

 事業企画、海外展開、新規店舗の立ち上げ等を推進できる即戦力の人材が必要とされており、大手全国チェーンから中小店舗まで事業規模を問わず、人材紹介の求人は増加が続いている。

 こうした業界の人材採用の課題を解決するために、クックビズでは飲食業界特化の人材紹介を行っており、取引先は7000社を超えている。

 同社は飲食関連ウェブサイトの運用を内製化することによって求職者を集めるノウハウを蓄積し、久田雅士人材紹介事業部長は「業界で働くことや求人企業の魅力を積極的に伝えて異業種からの人材流入を促進している」と話す。 また店舗スタッフへ実践的な教育・研修を提供する人材定着支援「クックビズフードカレッジ」にも力を入れている。 事業活動のグローバル化やイノベーションが加速し、さらに働き方改革を推進するため、人事部門責任者や人事スタッフの求人が増加している。こうした人事関連の求人に応えるために人事コンサルティングのアクティブ アンド カンパニーでは、人事・管理部門に特化した人材紹介サービスを開始した。これまで人事分野に特化した人材紹介会社はほとんどなかった。 同社の小池英夫事業部長は「求人企業の人事課題、求める人物像や組織風土などへの深い理解が、求職者に対するカウンセリングの質を高めている。結果として、応募意欲の高い候補者を紹介することができ、高い書類通過率につながる」と話している。 同社はグループ各社で、人事制度構築、研修、採用、給与計算等の人事関連の様々な支援を通じて経営者や人事担当者と密なコミュニケーションを図っており、企業の人事課題への理解が深い。 中途採用の目的の一つは、事業の展開に応じて専門性の高い人材を確保する点にある。しかし、そうした人材の獲得競争は激しく、タイムリーに採用できないことがある。

 IPO準備、新規事業開発、支店・部門の立ち上げ等、成長フェーズにある企業に対するプロフェッショナル人材の紹介サービスが、エッセンス社の「プロパートナーズ」だ。同社は2009年から経験豊富な人材を顧問として紹介するサービスを提供しており、クライアントから評価を得ている。 元上場企業取締役や海外事業責任者等、高度な経営ノウハウや豊富な人脈をもつ専門家など、800人以上の登録者から紹介が可能だ。月2 回、2時間程度から必要な頻度、期間で依頼することができ、中途採用が難しい分野などにおいて専門的な知見やノウハウを内製化できることがメリットだ。 「社員がプロフェッショナルと一緒に仕事にすることを通じた社内のリーダー育成にも効果が出ている」(米田瑛紀同社社長) という。 これまではビジネスの変化が早い IT業界やベンチャー企業での利用が多かったが、社外の人材を招くことによってイノベーションを促進しようという大手企業でもサービスの利用が広がりつつある。 新規事業の立ち上げなど、経営課題を解決するための人材採用ではリテインド・サーチ、いわゆるヘッドハンティングが注目されている。特にグローバル市場への進出、先端的な技術分野を率いる経営人材やスペシャリストは常に不足している。特に人材不足が顕著なITや建設分野などの採用難易度は高まる一方だ。 Tycoon Executive Search社は、IT分野のリテインド・サーチからスタートし、建設・不動産や消費財へ と対象を広げている。 同社が企業から依頼を受ける求人は専門性が高いため、候補者となる人材は転職市場には現れない。人物要件に基づいてコンサルタントとリサーチャーが情報を収集し、候補者を探し出している。求人内容がクラ イアントの経営戦略に直接かかわるだけに、競合他社との契約禁止などの倫理規定を守っている点も同社のサービスが信頼を得ている理由だ。 建設・不動産分野のコンサルタン トである小澤隆史パートナーは、「こ れまでリテインド・サーチの活用が少なかった建設・不動産業界でも、事業開発やグローバル展開を担えるような幹部採用の難しさに直面して新たな採用手法として検討する企業が出てきている」と話している。難しい採用を成功に導くリテインド・ サーチの価値が高まっている。 雇用形態や採用チャネルの多様化に伴い、企業規模や業態が同じような会社の間でも採用力の差が広がっており、人事担当者の負担を増やす一因となっている。