「べっぴんさん」47話。キアリスのモデルはファミリアで、オライオンのモデルはレナウン

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第8週「止まったままの時計」第47回 11月25日(金)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


47話はこんな話


ファッションショーでキアリスの宣伝するため手製のカードを配ることにするすみれ(芳根京子)。
紀夫君(永山絢斗)には仕事を辞めてほしいと言われたが、キアリスが「やっと見つけた自分の居場所」だと確信する。

潔、男を上げ続ける


「オリオン座はほかの星をみつける目印になる。オライオンの服を着ることで自分の居場所をみつけてくれたらええんやないかって」
という理由で、ファッションショーのモデルを、戦争が終わって苦労してきた女たちに頼むことにする潔。
「すてきー」と喜ぶ妻・ゆり(蓮佛美沙子)の目がハートに見えた。

キアリスのモデルはファミリアで、オライオンのモデルはレナウン。
「家族」という意味のファミリアに対して、創立メンバー4人の名前の頭文字を並べたキアリス。
イギリスの御召艦の名前からとった「レナウン」に対して、同じくイギリスの艦の名前「オライオン」と、
元の名前に添いつつ、ひねりを効かせたネーミングだ。

ちなみに、NHK大阪制作の前作「あさが来た」に出演していた玉木宏が、イ-77潜水艦艦長を演じていた映画は「真夏のオリオン」(2009年)で、昭一役の平岡祐太が出ている。

紀夫も徐々に持ち直す


潔はほんとうに出来た男である。あくまでも坂東営業所にご奉仕しているという立場をわきまえて、当主・紀夫(永山絢斗)に花をもたせようとする。
紀夫は、営業所でもなんとなく孤立していて、みんなが野球をやっていてもひとりで仕事をしている。
でも、こっそり野球ボールでお手玉の練習をしてみたり。46話、紀夫が家で寝ているとき、かわたらにお手玉が散らばっていた。お手玉が好きなさくら(河上咲桜)のためにできるようになりたい気持ちと、変わらなくてはいけないという気持ち、坂東営業所を背負わなきゃいけない気持ち、様々な紀夫君の思いが、野球ボールのお手玉に込められる。
やがて、あ。あ。「できたー!」すみれが妊娠したことを聞いたときのようにまた声が大きかった。
でもお手玉は栄輔が巧いっていうのが辛いっすね。

野球は、明治時代に日本に入ってきて、夏の甲子園大会がはじまったのは1915年、戦争で中断し、復活したのは1946年。プロ野球(当時は職業野球)は1936年、やっぱり戦争で中断し、終戦の年1945年11月に早くも復活している。 野球殿堂博物館 日本野球の歴史より

それぞれの居場所


ファッションモデルの助っ人として麗子(いちえ)が連れてきたのは悦子様(滝裕可里)だった。
女学校時代にすみれたちと一悶着あった悦子様が、「やるやないか」「ええ場所みつけたね」とキアリスをつくったすみれたちを認めるような発言を。
悦子様自体も、戦後、自分なりに「居場所」をつくって生きていて、潔によってファッションモデルという華やかな居場所も手渡された。
みんなそれぞれ居場所を見つけたり作ったりして、気持ちが上向く回。

家庭という居場所のない孤独な者同士の明美(谷村美月)と栄輔(松下優也)が語り合うのが、お互いの居場所を見つける良いフラグだといいのに。
(木俣冬)