「べっぴんさん」37話。泣けました。すごく泣けました

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第7週「未来」第37回 11月14日(月)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 安達もじり


すみれ「さくら、あなたのお父さんはね、あなたがこの世に誕生したと知ったとき、空に向かって叫ぶほど喜んでくれたのよ」
寝てるさくら
すみれ「会いたいねえ  会いたいねえ」
寝てるさくら

37回はこんな話


戦死の可能性のある紀夫(永山絢斗)の父母・田中五郎(堀内正美)と富美(押谷かおり)は、すみれ(芳根京子)に「どうか紀夫に縛られないでください」すみれさん、あなたには未来があるのよ」と言う。
すみれは娘さくら(河上咲桜)を背負いながら、紀夫を想って涙する。

泣けました。すごく泣けました。すみれが泣いているとき、さくらが何も知らずに寝ちゃっているのも、よけいに悲しい。

希望の傘


紀夫の父母の話を聞いてしまった英輔(松下優也)は、すみれを励まし続ける。
彼は彼で身内を戦争で失っている。
闇市で、父母がやっていた工場の傘が売られているのを見つけて買い取る英輔。
「きっと英輔さんの思いが引き寄せたんやね」とすみれが言うと、
「すみれさんもきっとやで。強う思ってたら願いは叶うもんや。頑張りや」と言うしかない英輔が切ない。

ここで傘がいい小道具になっている。
37回のすみれは泣いてばかり。父・五十八(生瀬勝久)に相談に来たとき、家も涙のように雨漏りしている。傘はオープニングの傘と重なって見える。いつか光が差して傘を閉じるときが来る日への祈りのようだ。

3そんなときお友達は


良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)は、ついつい夫の話題を出してしまい、ハッとなる。
明美は、「あんたはあんたで淡々としとき」と励ます。
明美がすみれの話を聞くのは、時計店。ここでまた時計が淡々と時を刻む音が入る。時計の音といえば安達もじり演出!(9、10話)  紀夫くんが赤ちゃんを喜ぶ場面も10話でした。

闇市といえばこれまた安達もじり演出。20話では托鉢僧が印象的で、37話では花売り娘(かなり幼い)。そして19話では「同期の桜」がかかり、37話では「誰か故郷を想わざる」がメランコリックな気持ちをいっそう高めた。

ものすごく悲しい話なのだが、1話の未来のシーンで紀夫くんが出ていて安心だからか、悲しいけれど、淡々としよう、頑張ろう、前を向こうと思えるドラマだ。
(木俣冬)