日経平均株価チャート/5分足・2日(出典:SBI証券公式サイト)  ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

写真拡大

注目の米大統領選挙は、
ドナルド・トランプが大逆転勝利!

 米国大統領選挙は大方の予想に反し、共和党のドナルド・トランプが勝ちました。株式市場は心の準備が出来ていなかったため、これに驚き、大きく下げています。

 ダウ工業株価平均指数の先物は急落し、一時−900ドル(約−5%)以上を記録。日経平均株価も前日比−919.84円(−5.36%)と大きく下落しました。また、米ドル/円レートは、1ドル=105円前後から一時は1ドル=101円台前半に。その後、多少戻したものの、11月8日17:00時点で1ドル=102円50銭前後を推移しています。

目先の値動きは、今後の値動きの指標にはならない
ビジネスマンのトランプは、株式市場の味方?

 とはいえ過去を振り返ると、大統領選挙の結果が判明した際のマーケットの動きは、その翌年の市場の動きを占う指標としては、全然あてにならないことが知られています。

 例えば、1929年の大暴落の後にアメリカは大恐慌に陥るわけですが1932年にフランクリン・ルーズベルトが大統領に当選した翌日、ダウ工業株価平均指数は−4.5%も暴落しました。

 しかし、翌1933年3月3日にルーズベルトが大統領に就任すると、ただちに銀行休業宣言を行い、3月15日まで株式市場の休場を決めました。「このような大胆な措置をやってはいけない」と財界の大物たちがルーズベルトにアドバイスしていたにもかかわらず、ルーズベルトは独断で常識の真逆を行く奇抜な策を打ち出したのです。

 ところが株式市場は、「その対処法が伝統的だろうが矛盾に満ちていようが、かまわない。兎に角、断固とした態度で大恐慌に立ち向かってくれる政策なら、何でも歓迎だ」と解釈し、大相場を演じます。結局、1933年のダウ工業株価平均指数の年間パフォーマンスは+66.7%でした。

 大統領選挙の結果が判明した日に株価が急落した例では、1948年のハリー・トルーマンの勝利も忘れる事が出来ません。その日、ダウ工業株価平均指数は−3.8%下がりました。その理由は「トルーマンは重工業支持者(smoke-stack man)ではない」と市場関係者が考えたからです。しかし、結果的には1949年から1952年にかけては4年間に渡る強気相場が起きました。

 もっと近年では、2008年にバラク・オバマが大統領に当選した日は、リーマン・ショックの直後ということもあり、ダウ工業株価平均指数は−5.3%暴落しています。しかしその後の2期にわたるオバマ政権では、米国株式市場は強気相場を経験しました。

 つまり、今回「想定外」の展開でトランプが大統領になったことで、目先は米国株式市場が急落したとしても、それは大騒ぎするに及びません。

 トランプは実業界の人です。だから株式市場にフレンドリーな政策をかならず打ち出してくるでしょう。ここは慌てず、2~3日様子を見た後で買い出動しても良いと思います。

クリントンが大統領になることを想定して
売られた株を買え!

 とりわけ薬品・バイオ株は、「薬価高騰問題に対して厳しい態度で臨むことを明らかにしているクリントンが、次の大統領になる」という思い込みから、ボコボコに凹まされています。狙い目としては、アムジェン(ティッカーシンボル:AMGN)あたりが良いと思います。

 また、「クリントンは銀行セクターに対しても厳しい対応をする」と考えられてきたので、そのリスクが消えた銀行株も買いです。JPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)で勝負するといいでしょう。

 逆に、「クリントンが積極的なインストラクチャ投資を公約していた」ことで上がっていた資本財セクターは、今後、値下がりするリスクがあるので要注意です。

■セクターごとの株価と大統領選との関係
セクター トランプが当選 クリントンが当選
薬品・バイオ 株価が上がる↑ 株価が下がる↓
銀行 株価が上がる↑ 株価が下がる↓
資本財 株価が下がる↓ 株価が上がる↑