「HUNTER×HUNTER」休載から17週、17巻を再読してみた

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冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』が休載されてから17週目が経過。今回は単行本17巻を中心に、ヒソカがなぜ強キャラ・レイザーに欲情しなかったのかを考える。


ハンター専用のゲーム・グリードアイランド。ゴンたちはヒソカを仲間にして、海賊たちとスポーツバトルをすることになる。ラストバトルとなったドッジボールでは、ゲームマスター・レイザーが登場。
レイザーはTシャツピチピチの強者。ゲーム内に外道のやり方で侵入してきた幻影旅団を表情一つ変えることなくまとめて追い出し、フィンクスからもその強さを認められていた。
ドッジボールでは、野球の投手っぽいフォームで剛球をゴレイヌの顔面にぶつけ失神させ、シュート回転を掛けた変化球ではビスケの衣服の一部を消し飛ばしていた。

命を賭けた一対一のバトルが大好きなヒソカ。31巻で『お気に入り(戦いたい人)』のぬいぐるみが入ったおもちゃ箱を見ても、指の骨をバキバキに折ってくれたレイザーの姿はない(アニメ版では、なぜかコルトピは入っている)。彼に対して特別な思いを寄せることはなかったのか。

試合中に見られたレイザーの3つの失態


試合序盤では、ゴレイヌの能力・ブラックゴレイヌによって顔面にボールをぶつけられる。こぼれ球をノーバウンドで味方が拾ったためにアウトにはならなかったが、レイザーの右頬は試合が終わっても腫れが収まらなかった。
本気を出してバレーボールスタイルになったときにはヒソカに出し抜かれた。ゴンが打った球をレイザーが空中にレシーブを打ち上げたところをバンジーガムで奪い取られた。
ゴンが再び全力でボールを打ち込んできたときにはゴンに向けてレシーブ。しかし、ここでもヒソカのバンジーガムで跳ね返され、エリア外に触れた状態で捕球して、アウトとなってしまった。ちなみにこのとき、ヒソカは両手の指がイッてしまった。。その瞬間、痛気持ちいい表情を見せていた。結果的にレイザーはヒソカに2度もやられたことになる。

バトルの駆け引きを楽しみたいヒソカ


ハンター試験の一次では、退屈しのぎに試験官ごっこを開始したヒソカ。向かってくる受験生をトランプで大虐殺。このとき、クラピカ、レオリオ、チェリーの3人が散り散りに退散したのを高評価。
天空闘技場で行われたゴンとのバトルでは、石板を砕いて身を隠し、死角から攻撃してきたゴンに思い切り殴られる。ヒソカは少しだけ嬉しそうにしていた。

現時点で単行本未掲載となっている対クロロ戦では、「『こんなハズでは…』という表情を見下ろすのが自分の絶頂(ピーク)」という自身のバトル哲学を話していたヒソカ。戦いの中で、相手の戦い方から知性や戦略を感じ取り、それを上回る形で相手を絶望させることに喜びを感じるらしい。ヒソカの能力、バンジーガムとドッキリテクスチャーは単体では殺傷能力の高いものではない。相手を欺くことに長けた能力である。

念弾をボポボの顔面にぶつけてめちゃくちゃにしたり、ゴレイヌを失神させたり、能力そのものの殺傷能力が高かったレイザー。ただ、ヒソカから見て戦術面が合格点に至らなかったのかもしれない。
(山川悠)

参考→「HUNTER×HUNTER」17巻。ドッジ弾平に似てるレイザーのプレイ