ボーダーはどこ？うつになりやすい人とならない人の違いとは
日々、秋の深まりを感じるようになってきました。世間はハロウィンにクリスマスケーキやおせちの予約も始まり、ことさら賑やかに浮足立って見えるのに、なんとなく自分だけがついていけていない……そんな寂しさを感じていませんか？ 寂しいような悲しいような気分が続くと「私ってうつ？」と不安になることもあると思います。
そこで今回は、予防医療推進協会の理事長を務める筆者が、うつになるやすい人となりにくい人の違いを食生活の面からご紹介します。
■無糖コーヒーVSダイエット飲料
アメリカWestat社のWuguan Guo氏らが食事・健康調査に参加した26万3,923人を対象に、ソフトドリンク、フルーツドリンク、コーヒー、紅茶などのさまざまな飲料を全く摂取しない人と1日4杯以上摂取する人を比較する調査を行いました。
その結果によると、全く摂取しない人よりも無糖のコーヒー、紅茶を摂取する人の方がうつ病のリスクが低く、ダイエット飲料など人工甘味料を使用した飲料を摂取する人はうつ病のリスクが高かったとのこと。
日本では未だにカロリーにこだわり人工甘味料を使用した飲み物を選ぶ人が多くいますが、それでうつ病になってしまうようではダイエットも台無しになってしまいます。ただし無糖のコーヒー、紅茶が良いと言ってもやはりカフェインが含まれているので夕方以降の摂取は控えたいですね。
■魚食の頻度
世界中が日本食に注目する中、日本人だけが“魚食クライシス”という言葉が生まれるほど魚離れ、和食離れが進んでいます。
日本歯科大学 多摩永山病院、吉川栄省氏らの研究によると魚の摂取量が多いほど、逆境に直面した時のストレスに対する対処能力が高いことが分かりうつ病予防に繋がることが分かっています。
“肉食女子”が増加しているようですが、“魚食女子”の方がうつ病リスクが低いだけでなく魚に含まれるEPA（オメガ3脂肪酸）の脂肪燃焼効果も得られダイエットとしてもうれしい結果となるでしょう。
■伝統的な日本食VS現在の日本人の食事
魚を多く食べる伝統的な日本食に対して、現在の日本人の食事は揚げ物などが多く、摂取する油の種類が変ってきています。
前述のとおり、魚に含まれるのはオメガ3系と呼ばれる脂肪酸。一方、揚げ物や炒め物に使用されるサラダ油などはオメガ6系と呼ばれる脂肪酸。先ほどもご紹介した吉川氏らの研究によると、揚げ物の摂取量の多い人ほどストレスに対する対処能力が低く、うつ病にかかるリスクが高まるというのです。
から揚げ、とんかつ、チキンカツなどの揚げ物は、夕食だけでなくお昼のお弁当にも入っていることが多いようですが、できるだけ避けた方がいいかもしれませんね。
いかがでしたか？ こうした日常の食生活へのちょっとした心配りが、うつ病のリスクに大きく関係するとなると……面倒でもどちらがいいのかはいうまでもないでしょう。
【参考】
※ Sweetened beverages, coffee, and tea and depression risk among older US adults. ₋ NCBI
※ Fish consumption and resilience to depression in Japanese company workers: a cross-sectional study. - NCBI
【筆者略歴】
※ SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。
【画像】
※ lenetstan / shutterstock
