渋谷に眠る「地下要塞」に行ってみた(渋谷区・地下貯留槽)

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水害に悩んできた繁華街・渋谷。 ここに新たに建設中なのが、地下貯留槽だ。雑誌『WIRED』日本版VOL.25では、地下に広がる巨大な「箱」を見るべく、渋谷の地底へ潜った。

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渋谷川」というタイトルの歌が2曲ある。ひとつは山本譲二と城之内早苗のデュエット曲、もうひとつは欅坂46(ゆいちゃんず)の曲だ。この2曲は作詞家こそ違うが、共通するのは「誰も知らない」というキーワードだ。

渋谷川は新宿御苑の湧水を源流とし、原宿のキャットストリートから渋谷の地下を通り、東京湾へ流れていく。渋谷駅のあたりでは降水時以外の水量は少なく、ほとんどが地下を通っており、まさに「誰にも知られず」に都会の片隅でひっそりと流れている川なのだ。

しかし、渋谷の地形はその名の通り「谷」であり、渋谷駅周辺はすり鉢地形のまさに谷底に位置しているため、渋谷は古くから水害に悩まされてきた。特に、近年はゲリラ豪雨や大型台風の猛威による浸水の対策が必要とされている。

東急東横線渋谷駅を地下に移すことがきっかけとなり、渋谷駅周辺の再開発が始まった。その一環として、水害対策用の貯留槽と人々が集う広場をつくり、その上に渋谷川を流すという重層構造の建設が計画された。

SLIDE SHOW

1/8渋谷駅東口地下にある地下貯留槽の内部。中はいくつかの部屋となり、水が増すと各仕切りから水があふれて次の部屋へと流れていく。

2/8渋谷駅東口地下にある地下貯留槽の内部。

3/8渋谷駅東口地下にある地下貯留槽の内部。

4/8渋谷駅東口地下にある地下貯留槽の内部。

5/8渋谷駅東口地下にある地下貯留槽の内部。

6/8地下を掘削するときに壁 が崩壊しないように、土を留めるための壁を設けている。

7/8現在工事中の貯留槽の上層部には新たな東口地下広場ができる。

8/8現在工事中の貯留槽の上層部には新たな東口地下広場ができる。

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この地下貯留槽では最大4,000立方メートルの雨水を貯めることができる。東急電鉄で渋谷駅街区土地区画整理事業を担当する事務所の森正宏所長は「貯留槽は地下約25mの深さに一時的に雨水を貯水できる施設です。1時間に50mmを超える強さの雨が降った際、この貯留槽に水を貯め、天候の回復後に古川幹線下水へポンプアップによって排水します」と言う。

現在は建設中で、地下貯留槽の運用が始まるのは 2020年の予定だ。森所長は「貯留槽を整備することで、今後、安全、安心で快適 な街にするのが、わたしたちの役目です」と語る。渋谷川はもはや「誰も知らない」川ではなく、渋谷を支える川となるのだ。

INFORMATION

VOL.25「ブロックチェーン」特集:10/11発売

10月11日発売の『WIRED』VOL.25は、「ブロックチェーン」特集。未来学者ドン・タプスコットによるメッセージから、スペインのアナキストであるルイス・アイヴァン・クエンデの肖像、岩井克人のビットコイン論、斉藤賢爾が語る5つの可能性、そして漫画家・西島大介による世界初(?)のブロックチェーン漫画まで、インターネット登場以来の、もしくはそれ以上の衝撃とも囁かれるブロックチェーンの未知なるポテンシャルを読み解く。さらに米国サイバー犯罪史上最も大がかりな捜査の果てに、ビットコインの存在を世に知らしめた闇サイト「Silk Road」事件の全貌を綴ったルポルタージュを20ページにわたって掲載する。そのほか、米大統領選を目前にして考える「新しい民意」、新しい本のエコシステムを構想する内沼晋太郎とバリューブックスの挑戦を追ったストーリーを掲載。特集の詳細はこちらから。

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