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別れたあとに、別れた彼女が出産したら、養育費や慰謝料は必要なのか? との相談がYomiuri Online「発言小町」に投稿されました。今回の相談には、批判も集まりそうですが、まずはトピ主(30代男性)の話に耳を傾けてみましょう。

トピ主によれば、「結婚を前提に交際していた相手が妊娠。その後、性格の不一致、考え方の違いの理由で別れようと言われ別れました」。その時点で元カノはトピ主の子どもを妊娠していました。「子どもはかわいいから産む」という元カノ、「あとでもめたりするのも嫌だから産んで欲しくない」という2人の話し合いは平行線のまま、元カノは出産をします。

そして出産後、元カノは認知を求めてきました。

トピ主は「無責任な気持ちで妊娠させて逃げたわけでもない」と開き直っています。また、訴訟に発展することを想定して「産まないで欲しいと伝えたのに出産をした」元カノに対して、「あまりにも勝手で一方的すぎる気がするのは、私だけでしょうか?」として、「これってどうなの?」とまで思っているようです。

あまりにも勝手なのは、トピ主ではないか? という気もしますが、果たしてこのカップル、どちらの言い分が認められるのでしょうか? 小田 紗織弁護士に話を聞きました。

(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「これってどうなの?」はこちら(http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2016/0503/760756.htm?g=15)

● 「子どもを作るなら、法的な責任をしっかり自覚するべき」

元カノが認知を求め法的手続をとれば、生物学上の父親である以上は、最終的に裁判で認知は認められます。トピ主さんが「自分の子どもではない」と言っても、DNA鑑定を行えば、父親かどうかは分かります。そして、元カノが認知された子のための養育費を請求すれば、調停や審判で、トピ主さんは子どものために養育費を支払うことになるでしょう。

トピ主さんは、子どもの父親として面会を求めることもできますが、子どもの心情等に配慮される必要があります。たとえば生まれてから全く会ったことがなかった子どもに数年後に突然会おうとする場合など、面会方法が制限されることは十分考えられます。

また、トピ主さんが死亡すれば、子どもは相続人となりますし、子どもが先に死亡すれば、トピ主さんが相続人になることもあり得ます。

ちなみに、元カノが認知を求めなくても、トピ主さんの死後、子が認知を求めて裁判をして判決を得れば、相続人となります。また、元カノが養育費も請求しなくても、子どもが請求することもできます(ただ、未成年である間は法定代理人=元カノが手続をとることになります)。

子どもを作るのであれば道徳的な責任はもちろんのこと、法的な責任もしっかり自覚したうえですべきです。女性が感じるお腹に宿した命の重みは、男性の想像を越えるものなのです。



【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/