レスターでインタビューに応じてくれた岡崎。プレミアリーグを戦うなかで、改めて気付いたこととは? 写真:桃園丈生

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 昨夏に加入したレスターで堂々とレギュラーを張る岡崎慎司。今でこそ“ラニエリ監督の秘蔵っ子”と評されるまでになったが、2015-2016シーズンが開幕した当初は迷いもあったという。なにをきっかけに、その迷いを振り払ったのか。
 
 レスターがプレミアリーグで優勝争いを繰り広げる真っ只中──4月19日に、イングランドの地で本人に直撃。紳士的にスタンスで、迷っていた当初から現在に至るまでの変化、さらにレスター躍進の要因なども赤裸々に語ってくれた。

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──シーズン開幕前は降格候補のひとつに挙がったレスターが、今や優勝争いをリード。躍進の要因は?
 
「結局は点を取れる選手がいるかいないかです。トッテナムも(ハリー・)ケインなどスコアラーが何人かいるから、今の順位にいる。
 
逆にチェルシーがなぜ勝てないかと言えば、ジエゴ・コスタが昨季のようにゴールを奪えていないからだと思う。
 
今シーズンのベストプレーヤーは、(MFのエヌゴロ・)カンテ。でも、重要な局面でゴールを決めてチームに勝利をもたらすFWも凄い。巧いという部分を超越していて、勝てるのは彼らのおかげだなと思ってしまいます。
 
プレーのクオリティは別問題。FWの価値は、決めてこそ高まります」
 
──試合で消える時間帯が多くても最後に仕事をすればいい、と?
 
「それが一番ですね。毎試合ゴールを決めてくれるなら、他のことができなくてもいい。そんな選手を見てきた。点を取れるから余裕が生まれ、チームメイトの信頼を掴んで、試合で長い時間使われる。
 
そうなればメンタル面にも良い影響を与えるし、プレーは安定します。その循環の良さも見ている。
 
だから、献身性やハードワークと言われても……。まだまだだなと思います。相手が嫌がる危険なプレー、アシストやゴールも少ないし、課題ばかりです」
 
 
 
 
 
──秋口にスタメンから外れた時は、どんな想いでしたか?
 
「プレシーズンの時、自分はFWの3、4番手でした。でも、(プレシーズンの)最後の試合で結果が出てスタメンになれた。シーズンの頭から先発できる可能性は小さいと思うなかで、チャンスが巡ってきたので考えるよりも行けるところまで全力でやろうと。とにかく、すべてを出し切る感じでやっていました。
 
もちろん、目指すはゴールでしたよ。マインツやシュツットガルトでも、結果を出さないと評価されないところがあったので。
 
ただ、どこかで迷いもありました。MFの位置を気にしたり、1トップでやりたい気持ちもあった。最初はガムシャラでしたが、どうしたら自分が活きるのかを少しずつ考えるようになりました」
 
──迷いが、プレーに影響を及ぼしましたか?
 
「どうしていいか分からない時もありました。ただ、迷っている段階で控えに落ちたので、そこから思い切ってやれるようになりました。できることだけをやっていたら、そのままサブで終わると思った。だから、チャレンジしたいと。
 
筋トレの量を増やしたのも、その頃です。プレミアは当たりが強く、判定基準も(ドイツと)違い、ファウルにならなかったりするので、『重さが欲しい』とフィジカルトレーナーの杉本さんに相談したんです。練習でも、チームに馴染むことから、どれだけ危険なプレーをするかにスイッチした」
 
──具体的にはどういうプレーを?
 
「それまではボールを失うリスクを回避するためにバックパスを選択することが多かったけど、今は違う。行けると思ったタイミングでターンしてボールを運ぶようにしました」