具志川vs名護

笑顔のナインが引き寄せた終盤の逆転劇で具志川が3年連続となる初戦突破

5回、タイムリーを放ちガッツボーズの古謝嘉大（具志川）

「ネガティヴにならないようにみんなで笑顔で行こうと話していました」と、8回の裏に同点となるホームを触った渡久地光貴は、終始笑顔で通したナインの思いを代弁した。

　先制したのは名護。初回、ヒットと犠打で一死二塁として、3番仲間陸がライト前へ運ぶと、続く宮城佑亮のセンター前タイムリーで三塁走者が生還。4回には、6番の山里航がレフトへの二塁打で出塁すると犠打で送り、上里龍靖のレフト前タイムリーで2点をリードした。一方4回を終えてゼロの具志川はヒット数もわずか2本のみ。だがグラウンドからもベンチからも、彼らの顔から笑みが消えることは無かった。

　5回裏、具志川は山内隆太郎がヒットで出塁すると、ベンチは続く島袋結世に強攻策を命じる。これが連続ヒットに繋がり、犠打で二、三塁とチャンスを広げて内野ゴロの間に1点を返すと、古謝嘉大にもタイムリーが生まれて同点に追いついた。

　グラウンド整備後の6回には、名護が一死二塁から岸本駿佑のタイムリーで突き放すが、その裏、具志川は二死三塁から相手エラーで追いつくなどシーソーゲームの様相に。8回、名護は二死一塁から与那嶺元規がライト前へと運び一、三塁とすると、2番宮城公鳳のタイムリーで再び突き放すが、「春の県大会で敗れた名護に絶対勝つ」（渡久地）と、リベンジに燃えていた具志川はその裏、大量4点を奪った。

　一死後、渡久地がセンター前ヒットで出塁すると、次打者のヒットとワイルドピッチで二、三塁。山内隆の打球はショートゴロとなったが、「ゴロゴーと、キャッチャーをかい潜る練習を重ねてきたので、あの場面はその通りのことが出来た」と、渡久地が生還し同点。その後二死満塁としてトップの伊波琉斗がセンター前へと運ぶ値千金の2点タイムリーでついに逆転すると、さらに相手のエラーを誘い出し4点目をボードに刻んだ。

　諦めない名護も9回、二者連続ヒットで空気を変える。二死となったが、代打で登場した岸本大河にセンターオーバーのタイムリー二塁打が飛び出し一打同点の場面を作るが、ここまで。3番手として急遽マウンドへ向かった山田聖が、最後の打者をショートフライに斬る見事な火消し役を演じて好ゲームに終止符。具志川が秋季大会3年連続となる初戦突破を果たしたのだった。

（文＝當山 雅通）