左から高校時代の 脇本 直人選手、三木 敬太選手

 今や機動破壊というフレーズを全国に定着させた健大高崎。この数年、急激な速度で躍進を遂げ、全国を代表する強豪校へ昇華した健大高崎のつながりを見ていく。

校歌、機動力でインパクトを残す!

 2002年に創部と、まだ歴史は浅い高崎健康福祉大学高崎高等学校(以降は健大高崎)野球部。健大高崎が機動力にこだわったきっかけは2010年の群馬大会準決勝で前橋工に0対1で敗れたことだ。速球派右腕・磯貝 優斗(拓殖大卒)、また打線も長打力ある選手を揃えながらも敗れた経験から、機動力にこだわるようになる。

 率いる青柳 博文監督は「日本一の意識」を持つためにスタッフで協力しあいながら走力を強化していく。その取り組みが1年後に実を結び、2011年夏の群馬大会は6試合で28盗塁と県内記録を作り、初の甲子園出場を決める。

 そして初戦の今治西に勝利し、甲子園初出場初勝利を決めた健大高崎だったが、試合後の校歌斉唱が話題となった。「Be Together!」と英語歌詞のアカペラで始まる独特の校歌が話題になったのだ。最初に健大高崎が全国の野球ファンに注目されたのは「足」ではなく、「校歌」であった。そして2回戦の横浜戦では、延長10回に及ぶ熱戦を演じたが、惜しくもサヨナラ負け。しかし、初めての甲子園出場でチーム作りに大きな手応えを掴んだという。

 機動破壊のフレーズが定着してきたのは2012年春。初戦の相手は近畿の強豪・天理。自慢の機動力をいかし9対3で天理を破り、勢いに乗った健大高崎はベスト4まで駆け上る。さらにその年の春季関東大会でも優勝を果たし、チームとして勢いに乗った年でもあった。2013年は春夏とも甲子園出場はなかったが、2014年には再び機動力で脚光を浴びる。まず群馬大会では6試合35盗塁、さらに甲子園では4試合で26盗塁と、次々と盗塁を決めていく健大高崎ナインに甲子園に集まったファンは熱狂。

 そして2015年選抜はベスト8、さらに選手権もベスト16と、一気に甲子園常連校となった健大高崎。走塁、打撃、守備、投手力すべてを鍛え上げ、悲願の全国制覇を目指す。

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[page_break:甲子園初出場後、強豪大学で続ける選手も出てきた]甲子園初出場後、強豪大学で続ける選手も出てきた

 強豪大学で野球を続け、頭角を現してきたのは2012年卒の選手から。甲子園に出場してからは、大学でも目立った活躍をする選手が出てきた。現在は初めて甲子園に出場した時の代と比べると更に個人の能力は高まってきており、今後も大学で活躍できる選手が出てくることが想像できる。

 また健大高崎といえば足の速い選手が目立つが、甲子園まで勝ち上がるときは投手力が高く、さらに好捕手がいるという特徴がある。2012年には左腕・三木 敬太がおり、正捕手ではプロから注目された長坂 拳弥がいた。2014年は同校で初めてNPBからドラフト指名を受けた脇本 直人選手を中心に脚力ある選手が注目されたが、夏の甲子園ベスト8まで勝ち上がった背景としては好左腕・高橋 和輝や速球派右サイド・松野 光次郎、当時の2年生左腕・川井 智也を揃えた投手力の高さと、この時から正捕手で、この夏、主将としてチームを引っ張ったプロ注目の柘植 世那の存在も大きい。機動力にこだわりながらもバッテリーを強化しているのが健大高崎なのだ。

 健大高崎の強さを見極めるときは、投手陣の力量や正捕手の力量を見るのも一つのポイントといえるだろう。

■2012年卒・片貝 亜斗夢(拓殖大)・湯本 天夢(大東文化大)

■2013年卒・三木 敬太(国士舘大)・竹内 司(東海大)・長坂 拳弥(東北福祉大)・内田 遼汰(青山学院大)

■2014年卒・宮下 周平(関西国際大)

■2015年卒・脇本 直人(千葉ロッテマリーンズ)・平山 敦規(東海大)・松野 光次郎(上武大)・山上 貴之(大阪体育大)・星野 雄亮(東北福祉大)

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