小笠原 昭治 / インターアクティブ・マーケティング

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1.自らの価値を知るところからコンテンツマーケティングは始まる

シリーズ第1弾 http://www.insightnow.jp/article/content1 より続く

突き詰めると、コンテンツマーケティングは、

価値をコンテンツ化してインターネットに載せること

ですが、そこで問題。

あなたは何屋さんで、どんな価値を売っているんですか?

ということです。

まさに、マーケティングですね(コンテンツマーケティングの名に相応しく)

旧JR(国鉄)よろしく、鉄道会社は、鉄道を運営するのが価値だと思っていれば、

乗客の快適な旅

に価値があるとは思わないでしょう。それは「旅行会社の領域だ」と。

道理で、その昔、窓口の国鉄職員と、激しく口論したわけです、筆者(笑)

確かに、鉄道に乗って、移動できれば、それでいいという人もいるでしょうし、貨物を輸送できれば、それでいいという企業もあるでしょう。

戦後の混乱期にあった日本や、発展途上の国々では、移動や輸送そのものが価値です。

しかし、価値観が多様化してくると、

お金を払ってもいいから快適に旅したい

とか、絵画や彫刻のように、ただ運ぶのみならず、

傷ひとつ付かないように運ぶ

のも価値になります。

そうなると、自分の満足を得られるなら、鉄道へお金を払わなくても、航空機でも、自家用車でも、レンタカーでも、バスでも、自転車でも良くなります。

そうして、お金を払ってくれるお客さんが、鉄道から離れていきます。

このように、自社が、何屋なのか?どんな価値を売っているか?は重要な判断で、これを

ビジネス・ドメイン(事業領域)

といいます。

2.コンテンツマーケティングを成功させる第一の矢『検索エンジン対策』

鉄道を運営するのがビジネス・ドメインだと思えば、

  • 車両構造について
  • レール幅について
  • 蒸気機関について

等々、鉄道ファンが好みそうな、鉄道の話題について記事を書くでしょうし、

それとは別に、旅の楽しみに価値があると考えれば、鉄道とは無縁な、

  • 駅弁
  • おすすめ観光地
  • ご当地グルメ
を記事に書くでしょう。


このように、書くコンテンツが、ぜんぜん異なりますね?

「おいおい、鉄っちゃん市場をナメてもらっちゃ困るぜ。100万人もいるんだ」

という意見もあるでしょうが、

「JRに乗るのは、鉄道ファンだけですか?」

「コアなファンへ向けた情報発信は、鉄道雑誌の領域じゃありませんか?」

ということです。

このように、自社のビジネス・ドメインを、どう定義づけるかによって、発信するコンテンツが一変します。

なので

あなたは何屋さんで、どんな価値を売っているんですか?

という問いに、どう答えるか?いかんによって、どのようにコンテンツマーケティングを駆使するか決まります。

さて、ご自分が販売している商品(豆腐屋さんなら豆腐)の価値を調べ尽くし、事業領域を定め、準備が整ったとしましょう。

10記事くらいは、順調に書ける(ネタがある)ハズです。

書く内容によって、キーワードも出現率も変わってきますから、検索エンジン対策(SEO)を念頭に書いて下さい。

(SEOの詳細については、膨大なボリュームになりますのと、解説しているサイトが他に沢山ありますので、ここでは割愛します)

3.コンテンツマーケティングを成功させる第二の矢『コンテンツ』

10記事くらい書いたあと、続けばいいのですが、ネタ切れになって続かない時、何を書けばいいのでしょう?

その解を求めて検索してみると、コンテンツマーケティングには、

  • クオリティの高いコンテンツ
  • 魅力的なコンテンツ
  • キラーコンテンツ

が必要不可欠であると、コンテンツマーケティングを推奨する全てのサイトに載っています。

もちろん、その通りですし、諸手を挙げて賛成しますが、ぶっちゃけ、

「キラーコンテンツなんて、そうそうカンタンに、ポンポン書けるもんか!」

と、ぐちの一つも言いたくなる(笑)のが本音ではありませんか?

そりゃそうです、そんな記事を、20記事、50記事、100記事、300記事と続けて書くなんて不可能です。

でも、大丈夫ですよ♪

コンテンツを文章に限っていえば、本を書くのと同じですから、

出版を意識して

書いてみて下さい。

“第二の矢”コンテンツの書き方5-1『出版を意識して書く』

書店の棚差し定番にありがちな、

  • ○○○入門
  • ○○○の手引
  • ○○○の方法
  • ○○○術
  • ○○○の知識
  • ○○○論
  • ○○○の基礎
  • ○○○ガイドブック

をイメージして書いてみて下さい。プロフィールひとつとっても、アマゾンに載ることを想定して(信頼を得られるように)書くはずです。

のっけから本一冊ぶん書こうなんて気負わなくても大丈夫。塵も積もれば山になります。

たとえば、3日に1日、400字詰め原稿用紙を1枚書くとすると、1ヶ月で、原稿用紙10枚になります。

それを、月1回づつ公開しながら、3〜4年間、書き続けると、本1冊分になります。

本1冊分になったら、Amazonダイレクト・パブリッシング

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/130/130710/

でしたら誰でも出版できます。

もしかしたら、他の出版社さんから、お声がかかるかもしれませんよ?

“第二の矢”コンテンツの書き方5-2『推敲に時間をかける』

出版を意識する理由は他にもあります。

1)一貫性をもたせるため

2)雑文にしないため

3)推敲するため

です。本一冊のテーマが一貫していなければなりませんし、専門性が必要ですし、何度も何度も校閲しなければなりません。

商業出版の校正・校閲は厳正で、出版社の中には、ウィキペディア(個人の書き込み)を事実校に採用しない校閲のプロがいるくらいです。

そうして、推敲を重ねたり、校閲を繰り返すことで、時には全文を入れ替える等、だんだん魅力的な文章になり、いずれ、あなただけの個性あるコンテンツになります。そんなモンですって。

なので、是非とも、出版を意識して書いてみて下さい。

“第二の矢”コンテンツの書き方5-3『問題を解決するか、欲求を満たす』

ご存知のように、インターネットは、情報収集(問題解決)のための媒体ですから、あなたが持つ(商品の)価値で、想定読者が抱える

問題を解決する

記事を書けばいいんです。そのためのインターネットですからね。


もしも、あなたの持つ価値が、問題解決に向かなければ、読者の欲求を満たす記事にすると良いでしょう。たとえば、
  • 知識欲を満たしたい。知りたい
  • 成長したい。変化したい。より良くなりたい。
  • 肯定したい。分かち合いたい。認めてもらいたい。
  • 仲間が欲しい。所属欲を満たしたい。
  • 感動したい。いい物語に触れたい。
  • 癒されたい。救われたい。

人の欲求に関してはウィキペディアに詳しく。

http://tinyurl.com/orqzggz

“第二の矢”コンテンツの書き方5-4『買う側の視点で書く』

問題は「シロウト向けの知識なら、他のサイトにも書いてある」ということです。

他と同じでは、差別化になりません。

でしたら、プロ(あなた)の目線ではなく、シロウト(お客さん)の目線で書くだけで、ぜんぜん別物になります。

たとえば筆者は、4P'sやSTPに代表されるマーケティングを、『顧客の十戒』にまとめました。

顧客の十戒

で検索してみて下さい。検索結果の一番上に、筆者のサイトが表示されます他に、沢山のサイトが検索されます。

「売りたい」という気持ちを、「買いたい」という気持ちへ置き換えた時、真逆の文章になることが、お分かりになるでしょう。

オズボーンのチェックリストでいうところの「逆さにしてみる」ですね。

“第二の矢”コンテンツの書き方5-5『ありそうで無かった切り口を書く』

このように、コンテンツに魅力をもたせるには、

ありそうで無かった切り口

で書いてみて下さい。

オズボーンのチェックリストや、スキャンパー

が参考になるでしょう。

客観的になると(主観を捨てると)、思い込みから開放されるためでしょうか、我利から開放されるためでしょうか、新しい切り口が見えてきます。

それでも、どうしても書けない場合は?

ライターさんに書いてもらうか(もちろん有料)、みんなが投稿できる参加型のサイトにして、第三者に(無料で)書いてもらうことです。

4.コンテンツマーケティングを成功させる第三の矢『被リンク』

クオリティの高いコンテンツが出来、SEO対策も万全に整った…だけでは爆発的な反響を見込めません。

たとえば、先の例の顧客十戒。

最初に公開したのは、発行部数3,000部のメルマガでした。まぐまぐから発行されていますから、SEOは万全。

ビジネス書にも載りました。(顧客の十戒を有名にした一冊というレビューも)

また、ツイッターの商用利用を推奨している方々のツイートでも広がりました。

さらに、誰でも社名を知っている大企業の広報誌にも載りました。

複数の大企業の広報誌に載りましたから、発行部数を合算すると、数万部以上。

いわば、それなりに、反響がありました。

ところが、その3年後の年末、

一人のインフルエンサー(Web上で強い影響力を持つ個人)が、facebookで紹介

した瞬間、爆発的に拡散し始めました。


弊社ホームページの訪問者数も急増しましたし(12月まで700人台→1月から1,000人台/日)

「コンテンツを使わせてもらっていいですか?」というメールも増えました。

有名税よろしく、この頃から、筆者の氏名が固有名詞化してきました。たとえば、

「小笠原昭治の顧客十戒が、毎日毎日、FBのメールで届いて、ウザイんだが」

というブログの書き込みや、

「小笠原昭治のメルマガ読んで思ったナウ」

といったツイートが散見されるようになりました。

呼び捨てというよりも、タレントのように、固有名詞化し始めたといっていいでしょう。

こうした状況を見た知人から、

「そんなキラーコンテンツを持っていて、うらやましい」

と言われますが、キラーコンテンツではありません(筆者サイトの人気記事ベスト10にも入っていません)から、インフルエンサーがいなけば、宝の持ち腐れ(笑)になるところでした。

これは

「良いものが売れるとは限らない。売れるように売らなければ売れない」

という“マーケティング”そのものですね。

5.コンテンツマーケティングを成功させる三本の矢『まとめ』

まとめますと、クオリティの高いコンテンツが出来、SEO対策も万全に整った…からといって充分ではなく、

インターネット上で強い影響力を持つ個人(インフルエンサー)からリンク

してもらって、はじめて、訪問者が殺到します。

たとえて言うと、Yahoo!ニュースにリンクが貼られるような爆発力といえば、お分かりになるでしょう。

確かに、ある程度のコンテンツの質こそ問われますが、他に、

  • メルマガの媒体力でもなく
  • 広報誌の向き不向きでもなく
  • ツイッターの伝達力でもなく
つまり、コンテンツを発信するメディアの問題ではなく、最強の新規営業と同様に、

紹介

が起爆剤であることは間違いありません。


やはり、インターネットといえども、

人脈の“質”と“量”で成否が決する

と断言していいでしょう。そりゃそうですよね、コンテンツを読んで、リンクを貼るのは、人間ですから。


コンテンツマーケティングを成功させたかったら、始める前に、

WEB上で、人脈の量を増やし、人脈の質を高めておく

ようオススメします。


(本稿「三本の矢」を用いた架空の例を、小説風に、筆者のサイトで公開しています)

第三回(10月公開)『コンテンツマーケティングに欠かせないフリーミアムとマネタライズ』へ続く