『デジタルサイネージ元年』、今年こそ ホンモノか?/赤秀 有為
サイネージの現況
デジタルサイネージとは、日本語で電子看板を意味し、定義は 下記の通り。
屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続したディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステムを総称して 「デジタルサイネージ」と呼びます。(http://www.digital-signage.jp/about/ より)
筆者は デジタルサイネージ歴 5年になるが、このサイネージ、関係者間では、新たな有望メディアとして、過剰な程 大きな期待を受けてきた。2007年頃から、『今年は、デジタルサイネージ元年になります!』といった触れ込みで 市場のブレイクを期待されたが、スルッと肩透かしを食らい、この『サイネージ元年』が翌年にスライドし、また翌年も同じ結果で、またスライドといったことが、2015年の今の今まで繰り返し続いて、「サイネージ元年は永遠に来ないのでは?」と囁かれている状況である。
ただ、ここ1年は、いつもと様相が異なる。銀座や新宿など、街中の店舗で サイネージ導入がドンドン進んでいる。読者の皆様も、肌で感じているのではないだろうか。
また、今後についても、2020年東京オリンピックに向けた政府の後押しもあり、公共空間を中心に さらに加速していくことが予測できる。
サイネージの用途
サイネージの使われ方としては、大きく分けると、広告系と販促系と演出系の3つ。
広告系は、主に 新宿や渋谷等 繁華街での屋外ビジョン や 山手線等 乗降客数の多い駅構内や電車の中といったところで使われている。
(http://www.hankyu-ad.jp/trad/vision/price02.html より)
販促系は、店頭に置いて 店内誘因を狙うものや商品棚近くに置いて手に取りを誘うもの等 ある。
(http://www.pronews.jp/column/20141219115035.html より)
演出系は、主に 高級ブランド店(特に海外ブランド)などで、ブランドの世界観醸成などでよく使用されている。
(http://www.gridcast.ca/portfolio/retail_dior_video... より)
サイネージの効果性
「サイネージって、どれだけ効果あるの?そもそも、何で測るの?」といった事は、よく議論の対象となる。
Webであれば、PVとかCPAとか スタンダードな評価指標が確立されているが、サイネージについては 今現在 まだ未整備状態である。
例えば、販促系で使用されているサイネージであれば、「サイネージ設置前と設置後での売上増減で測れば良いのでは?」といった事も言われる。ただ、そう簡単ではない。サイネージは、一般的に売上増減の最大ファクターにはなりづらい。いろんなファクターがあって、その測定時点の季節や気候、景気や周りの店舗環境、商品自体等。なので、サイネージだけで、売上の増減を測るのは少々乱暴かなと。
では、「カメラで、サイネージコンテンツの閲覧者数を測定すれば?」といった事も言われるが、これも今時点では問題あり。カメラで監視されるのは気持ち悪いとか個人情報保護法に反するのでは?とかいろいろと世間ではネガティブな意見が言われており、今現時点では、社会に受け入れられていない状況である。時が経てば、受け入れられるのかもしれないが、いずれにせよ、あるべき効果測定方法が確立されてくるのであろう。
今後について
今現在のサイネージ市場は、黎明期で、今後の予測がなかなか難しい状況にある。
ただ、このデジタルサイネージは、名前の通り、デジタルで、様々なデバイス・情報と連携でき、面白い発展を遂げる可能性がある。例えば、カメラ/音声/GPS/振動/天気などとの連携は、既に実用化されている。
カメラ連携では、サイネージの前にいる人をカメラで読み取り、その属性(30代女性など)を判定し、その人が好みそうなコンテンツに切り替えるといったものである。
振動連携では、駅のホームにあるサイネージで、女性モデルの静止画が表示。ただ、振動で電車が来る事を検知したら、そのモデルの髪やスカートがなびくといったものである。実際見ると、静止画が急に動き出す驚きと面白さで目が奪われる。
今後も、現時点では思いもよらないものとの連携が実現されるであろう。人の所有する家電/冷蔵庫と連携したり。人の行動パターンと連携したり。もしかしたら、人の体や脳と連携する世界になるかもしれない...