アンバレラのHPトップでは自社製品が映像とともに紹介されている。

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<今回のまとめ>
1.民間ドローン市場は年間売上高45億ドルで、年率+36%で成長している
2.消費者のホビーのほかに、農業や石油・天然ガス業界などで利用されている
3.いまアメリカで人気のモデルはDJIの『ファントム3』というモデルだ
4.上場株ではアンバレラがドローンの心臓部分を提供している
5.画像圧縮率の高さと消費電力の低さがアンバレラの強味である
6.将来はアナリティックスを付加することで差別化へ

民間のドローン市場の売上高は前年比+36%

 ドローンとは無人飛行システム(UAS)全般を指し、その中にはグライダーのようなカタチをした有翼のものもあれば、クワッドコプター(ヘリコプターのような、四つのプロペラを持つシステム)もあります。

 ドローン市場は大きく分けて軍事用と民間があります。今日は民間ドローン市場に関して解説します。

 民間ドローン市場の規模については、いろいろな試算があり、意見の一致を見ていません。一例として市場調査会社フロスト&サリバンは2015年の商業ドローンならびに消費者向けドローンの売上高を45億ドルと試算しています。これは前年比+36%です。

 ドローンの使われ方ですが、一般の消費者はホビーでドローンを飛ばし、動画を撮ります。

 これに加えて商業ドローンは農業における作柄のチェックや、石油・天然ガス産業におけるパイプラインの保全監視作業などにも利用されています。

ドローン・ブームを株式市場でどうプレイするか?

 ドローン市場には各社からの参入が相次いでいます。現在、米国で最も人気のあるモデルはDJIという会社の『ファントム3』です。

 残念ながらDJIは非公開企業ですのでその株を買うことは出来ません。

 そこでDJIに部品を提供している会社の株を買うという投資方法があると思います。

HD画像圧縮システムのリーダー企業「アンバレラ」

 アンバレラ(ティッカーシンボル:AMBA)はDJIにHD動画圧縮システムを提供しています。

 アンバレラはゴープロ(ティッカーシンボル:GPRO)のアクション・カメラの心臓部分を提供していることで有名です。現在もこの関係は続いています。

 それに加えて最近、アンバレラにとってドローン向けHD画像圧縮システムが重要性を増してきています。将来、アクション・カメラ向けよりドローン向けの市場の方が大きくなると予想しています。

 6月期はドローン向けに40万ユニットの出荷が見込まれており、これはアンバレラの営業利益の15%前後に相当します。

 アンバレラはアクション・カメラやドローンのほかにも監視カメラや車載カメラ向けのHD画像圧縮システムを提供しています。

 アンバレラがHD画像圧縮システムの市場でリーダー企業となっている理由は、まず同社のシステムの圧縮率が他社のそれよりも高いことによります。これは動画ファイルがそれだけ軽くなることを意味します。

 次に同社のシステムは他社のシステムの半分の消費電力です。ドローンのような、バッテリーの寿命が鍵になるアプリケーションでは、これは重要な差別化のポイントになります。

さらに付加価値を高めるアンバレラ

 アンバレラは7月2日にイタリアのビズラブを買収すると発表しました。ビズラブはコンピュータ・ビジョン技術を開発しています。先端運転補助システム(ADAS)は、その応用分野のひとつです。

 ビズラブの技術は、ユーザーが動画を解析し、判断を下す際の、意思決定を支援するアナリティックス・ツールを開発する際に役に立ちます。

 アンバレラの会計年度は1月末〆です。従って下のグラフで2015年とあるのは2015年1月31日で〆られた過去1年間の業績を指します。下のグラフはアンバレラの直近3年間の業績ですが、順調に成長しています。

 ドローン向けHD画像圧縮システムの市場が今後大きくなることが予想されると先に述べましたが、先端運転補助システム(ADAS)等も併せ持ったアンバレラは今後の株式市場で注目すべき重要な企業といえるでしょう。