新幹線焼身自殺 71歳容疑者が語っていた“父になる夢”

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(林崎容疑者の自宅アパート)
2人が死亡、26人が重軽傷と、新幹線史上、前代未聞の惨事となった東海道新幹線放火事件。死亡した林崎春生容疑者(71)が15年ほど前から住んでいた東京都杉並区内のアパートは築48年。トイレはあるが風呂はなく、家賃は4万円弱。しかし林崎容疑者は、その家賃を払うことすらままならない状況だったという。

走行中の新幹線の車内で自らガソリンをかぶり、火をつけた林崎容疑者。大勢の人々が巻き込まれ、横浜市在住の桑原佳子さん(52)は命まで奪われた。しかし生前の容疑者を知る人たちは、口をそろえて「真面目で几帳面な男だった」と言う。

林崎容疑者は岩手県遠野市の出身。50年以上前に中学を卒業した後、上京した。容疑者を知る男性は語る。

「彼は流しの演歌歌手でした。ギターを片手に西荻窪の飲み屋街を回っていたんです。料金の相場は3曲歌って1千円。彼がよく歌っていたのは北島三郎とか、村田英雄だったと思います。そのうちにカラオケブームが来て、流しに頼む人もいなくなっていったんです」

それからの容疑者は、鉄工所勤務、幼稚園の送迎バスの運転手、造園業など職業を転々とし、最近は清掃会社で働いていた。近所でスナックを経営している女性はこんな証言も。

「仕事は転々としていたけど、真面目に働くほうだったから、ちゃんとお金を持っていて、ツケで飲んだりすることはなかったですよ。あるとき馴染みのホステスが妊娠したんだけど、『子供が生まれたら、俺が父親になってやるからな』なんて励ましていました。彼女もけっこう嬉しそうでしたが、結局中絶することになってその話も立ち消えになったんです」

容疑者の様子が変わってきたのは、清掃会社を辞め、年金以外の収入がなくなったころから。アパートの近所にあるコンビニエンスストアの店員は、次のように語る。

「(容疑者は)深夜に来ることも多かったですね。食料はあまり購入せず、よく買っていたのは、カップのかき氷に、エコーという銘柄の1箱250円のタバコ、それにお酒。お酒もワンカップとか缶チューハイとか安いもの。『酒でも飲まなきゃ眠れないんだよ』なんて言ってたけど、深刻に悩んでたんですね……」

故郷・岩手県に住む姉に電話で、“国会の前で自殺する”と語っていたという容疑者の妄念は、ついに新幹線の車内で暴発することになった。