【ファンキー通信】凧がついに風と決別?

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 「たこ」=「凧」。辞書を紐解くと、「竹などで作った骨組みに紙を張り、糸をつけ、風を利用して空高く揚げるもの」と書いてある。子供の頃は誰もがやったであろう、お正月定番の遊びだ。だが、その「たこ」が自力で揚がるとしたら?

 実験機器メーカーの森久エンジニアリング(兵庫県伊丹市)と三菱電機が共同で開発した「たこ」、「バイオプレーン」は、無風状態でもゆっくりと羽ばたきながら自力で揚がるという。しかもバッテリーを使用せず、電線により飛行中の機体に連続給電を行うため、長時間の飛行が可能だとか。速度はおよそ時速1〜5キロで、直径3メートルの円を描いて揚がり続けるという。

 前身となるのは01年に開発された「バイオカイト」だ。シートには超軽量の不織布、骨材料には繊維強化プラスチックという細くて軽いが曲がりにくい素材を採用。同程度の凧に比べて約1/3という軽さを実現した「バイオカイト」は、「季節天候を問わず、微風でも揚がる」と評判になった。

 「バイオプレーン」は、流体力学や航空機力学を応用した「バイオカイト」の発展型モデルだ。バイオカイトの機体に、超軽量の「電動はばたき機構」を搭載し、室内を低速で羽ばたきながら飛行する。

 開発陣が「電動はばたき機構」を開発するまでにはかなりの苦労があったようで、「胴体部にヘリウムガスを封入し、浮上させる案も出たが、ヘリウムガスがすぐに抜けてしまい、しかも多量のヘリウムガスが必要なので実用性がなかった」や、「鳥型バイオカイトの頭部にゴム動力のプロペラをつけて、飛行させてみた。これはうまく飛行したが、よくよく考えてみると、『昔からあるゴム動力の飛行機の形が、鳥になっただけ』と気付き、没になった」など、数多くの逸話が生まれたという。

 「バイオプレーン」は、ショーウインドー内の業務用インテリアや、理科の教材、玩具などの用途を見込み、今秋にも1機2万〜3万円で売り出す予定だという。また、「将来的には、無線方式のバイオプレーンも登場させたい」とのこと。(文/verb)

森久エンジニアリング http://www.biokite.com/